「景況感に対する市場の反応の変化」
6月相場入りとなった今週の株式市場ですが、これまでのところ、日経平均は上げ下げを繰り返しつつ、概ね39,000円から38,000円のレンジ内での推移が目立っています。
テクニカル分析的には、75日の移動平均線が意識されている印象が強く、株価が急落した4月中旬以降の日経平均はこの線に沿って動く展開が1カ月以上も続いています。75日移動平均線は約3カ月間の値動きの中心線でもあり、最近の日経平均は相場の方向感を欠き、「次の展開」を待っているようにも見えます。
来週は、米FRBがFOMCを開き(11日~12日)、国内でも日銀の金融政策決定会合(12日~13日)が予定されるなど、金融政策イベントが最大の焦点となる中、基本的には、景況感やインフレの動向を踏まえつつ、金融政策への思惑が相場のムードを左右することになりそうです。さらに、日銀会合直後の14日には、メジャーSQ (株価指数先物取引の清算日)が控えていることもあり、需給的な思惑を巻き込んで値動きが荒くなることも想定され、「次の展開」の到来がそろそろ迫っているのかもしれません。
日銀会合については、国債の買い入れ額の減額や利上げなど、金融政策の正常化が進むとの観測がくすぶる中、足元の市場では国内長期金利が上昇したり、為替が円高方向に向かうなどの動きが日本株の重石となっていますが、やはり相場の方向感を決定づけるものとして、最大の注目点になるのは米FOMCです。米国の利下げ観測が高まれば株価が上昇し、反対に、利下げ観測が後退すれば株価の下落が見込まれます。
実際に、今週の米国株市場に目を向けると、膠着感を強めている日本株とは対照的に、米S&P500やNASDAQが史上最高値を更新する場面を見せるなど、強い動きを見せていますが、その背景にあるのは、米利下げ観測の高まりです。
一般的に、「利下げ」が見込まれる動きとなれば、景気を刺激して経済活動や企業業績の好転を後押しすることになりますが、これまでの株式市場は、米国経済のソフトランディングを前提に、金融政策の引き締め局面で、「逆金融相場」を織り込んでいても、景気や企業業績が悪化していく、「逆業績相場」までは十分に織り込んでこなかった面があります。
そのため、利下げ決定による市場の初期反応として、いったんは「業績相場」を見越して上昇していくと思われますが、注意しておきたいのは、利下げ決定後も景況感の悪化傾向が続いてしまった場合です。これに加えて、インフレの高止まりも重なってしまうと、これまで織り込んでこなかった「逆業績相場」へと向かう動きが一部で出てくることも考えられます。
したがって、足元では、冴えない経済指標などによる景況感の後退は、株式市場にとって利下げ期待につながる好材料となっていますが、利下げが見えてからの景況感後退の継続は、逆に悪材料に転じる可能性があり、景況感に対する市場の反応の変化には注意が必要となりそうです。
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