日本株は決算発表を踏み台にステップアップできるか?
今週の国内株市場は、日経平均が週初に一段高でスタートし、約4カ月ぶりに節目の22,000円台に乗せてきましたが、これまでのところ、この水準をキープしての展開が続いています。こうした株価の上昇をもたらしたのは、中国経済に対する楽観的な見方が強まったことや、米国の企業決算などを好感して米国株市場が上昇したことがきっかけです。
具体的には、人民元建て融資残高の増加や、貿易統計が予想以上に強かったことなど、先週発表された中国の経済指標の改善を受けて、景気持ち直しに対する期待感が高まりました。また、米国金融機関の決算を好感する動きも株式市場の追い風となった格好です。とりわけ、中国の経済指標については、今週17日(水)に発表されたGDP(1-3月期)や工業生産(3月)の結果も良好なものとなっていて、より安心感を強めている印象です。
足元の日経平均を株価水準で見てみると、4月17日(水)の終値である22,277円は、昨年10月2日の高値(24,448円)から12月26日の安値(18,948円)の下げ幅の「61.8%戻し」の辺りに位置しています。最近は50%戻し辺りで1カ月近く彷徨っていたのですが、ようやく6割を超えるところまで来たわけです。ただ、米国株(NYダウやS&P500)の方を見ると、下げ幅の9割以上を戻していて、NYダウについては、下落前である市場最高値(昨年10月3日の26,951ドル)を射程圏内に捉えている水準ですので、日本株には「出遅れ感」を指摘する声が多くあります。
国内企業の決算発表は来週から本格化しますが、現在の相場のムードからすると、中国関連銘柄とされる日本電産やファナックなどが注目されます。これらが中国経済減速の影響が緩和される結果と見通しになれば、米国株にキャッチアップしていく形でさらに上昇していくことも考えられます。実際に、足元の株価上昇は景気敏感株にも買いが入っています。
そもそも、日本株の出遅れ感の要因として、自国経済が好調を維持している米国企業と違い、日本は世界景気の影響を受けやすい企業が多いことや、消費増税を控えている中で国内景気への警戒感が根強いことなどが挙げられています。
さらに、日本企業の「稼ぐチカラ」も理由のひとつとして意識されていることを認識しておく必要がありそうです。今週16日(火)の日本経済新聞では、日本企業が「資金をどれだけ利益につなげられるか」の指標が欧米企業と比べて回復が鈍くなっているという記事が報じられました。事業の選択や集中などの見直しの動きが鈍く、売り上げが伸ばしきれていないことや、稼いだ利益を投資に回して新たな収益を生み出すよりも、経営環境の悪化に備えて現金のまま抱える傾向が強いことなどがジワリと差を開かせているという内容です。
当然の事ながら、企業の株価は将来の成長性が高ければ期待を織り込んで上昇していきます。結果的に足元の業績が最高益を更新したとしても、将来にわたって高成長の継続性が見込めなければ株価への織り込みは早く、伸びしろは限定的になってしまいます。「稼ぐチカラ」の弱さが強く意識されているのであれば、日本株の出遅れ感は一時的な状況ではないということになりますので、ある程度キャッチアップできたとしても、上値が再び重たくなってしまう可能性があり、国内の決算シーズンは市場全体というよりは、個別に稼ぐチカラが強い企業を選別していく中で、株価水準を探っていく動きになるのかもしれません。
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