「適温相場再び」の声は期待値の先取りか?
祝日を控えているため4営業日となる今週の国内株市場ですが、注目イベントである米FOMCの結果が相場に反映されるのは、祝日空けの22日(金)になります。この原稿の執筆時点はまだその祝日前ですが、FRB(米連邦準備制度理事会)のハト派姿勢を再確認する見通しが強くなっています。
直近までの国内外の株式市場の上昇は、主にハト派寄りに傾いた米国金融政策や、米中協議の進展期待などが支えとなりましたが、これらは目新しい材料ではなく、また期待先行の部分も大きい面があります。確かに「適温相場再び」の声も聞かれるようにもなっていますが、昨年末の下落からここまでの株価の戻りでかなりの上昇エネルギーを使ってしまった可能性があり、期待値の先取り感が意識されれば、株価が調整する展開も想定しておいた方が良さそうです。
また、日銀の金融政策決定会合が米FOMCよりも一足早く、先週の3月14日~15日にかけて開催されましたが、日銀は輸出と生産の見通しを下方修正しました。ただ、景気認識については「緩やかに拡大している」と従来の姿勢を崩していません。
もっとも、今回の日銀会合について、市場で世界景気の減速が警戒される中で追加緩和の思惑がちらつくようになっていたこともあり、日銀が景気認識の下方修正トーンを強めてしまうと、追加緩和の期待を高めてしまう展開につながりかねず、今回のスタンスをとったと考えることもできます。「国内は大丈夫だが、海外の景気減速が懸念される」ため、金融政策をハト派へと舵をきった米FRBとは状況が異なるわけです。
さらに、黒田日銀総裁は会合後の記者会見や国会での質問などで、追加緩和の可能性について否定しておらず、これが金融緩和期待を燻らせている要因となっていますが、物価上昇率などの日銀の目標値の達成にはまだ距離があるほか、これまでに実施した金融緩和に対する規模とコストに見合っていないことをはじめ、金融機関の収益圧迫や債券市場や金利機能の低下などの副作用が目立っていることを踏まえれば、効果的な追加緩和策を打つ手段と余裕はあまりないと考えられます。
行けるところまで戻りを試す動きを見せている印象の株式市場ですが、そもそも適温相場とは、景気の緩やかな拡大と、ほどほどの金融緩和への期待が共存し、市場がリスクオンを続ける状態のことを指します。足元では、経済の失速懸念に対して、経済・金融政策が支えるという見方となっており、やや後ろ向きと言えます。そのため、「宴」が突然終了してしまう展開には注意が必要かもしれません。
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