テーパリング後に向けた動きに期待

2021/09/30

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9月は日本市場にとっての転換期となった。8月のレポートでは『「休むも相場」のマーケット』というコメントを出していた。デルタ株の猛威で日本全国にコロナ感染が蔓延し、日本で初めて欧米と同様のパンデミックの様相を初めて体験していることで「米国株好調vs日本株不振」の構図。NYダウと日経平均の単純な株価格差は通常3000ポイント程度であるが、8月末時点で7310ポイントも開き、過去最大のレベルにまで格差が拡大。日経平均は年初来のパフォーマンスが一時マイナスを記録していた。それが9月に入って菅総理の退陣表明を受けて、自民党総裁選&衆院選への期待から日本市場は様変わりした。「休むも相場」ではいられないほど忙しい状況となった。さて遅くなったが、8月のポートフォリオの状況ならびに9月の近況について記したい。

8月のマーケットは日米市場とも上昇する展開となった。

米国市場は続伸し、主要3指数は揃って過去最高値を更新。7月の雇用統計は予想の+84.5万人に対し+94.3万人と上回り、6月の実績も85万人→93.8万人に上方修正。1兆ドル規模の超党派インフラ投資法案が上院で可決し、景気を押し上げるとの期待。7月のFOMCの議事録で「年内のテーパリングが適切」との意見が大勢を占めたものの、消費者物価指数が予想を下回り、過度なインフレ懸念が後退。長期金利は1.36%まで上昇。ファイザー製ワクチンがFDAに正式承認され、ワクチン接種の進展による経済活動再開が一段と進むとの見方で景気敏感株に買い戻し。8月のNYダウは35360ドルと前月より425ドル上昇し月間騰落率は+1.2%。ナスダックは14672となり586ポイント上昇の+4.0%となった。

東京市場はようやく反発し、日経平均は28000円台を回復。日本企業の1Q決算の多くが好調で、投資家心理が改善。ファンダメンタルズ相場の様相が強まるものの、好決算発表を機に売られる銘柄も目立つ。全国のコロナ新規感染者数が2万人超と過去最高を記録したことで相場全体の上値は重い。またトヨタが9月の世界生産台数を計画比4割減にするとの報道でトヨタショックにより一時全面安に。その後は徐々に買い戻しの展開。為替は先月末の109.50円から今月末は110.05円とやや円安に。売買代金は2.4兆円程度と商い低調。8月の日経平均は28089円で取引を終え、7月末の27283円から805円上昇し月間騰落率は+3.0%、Topixは+3.1%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+0.8%、マザーズ指数は+4.6%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」  における7月のパフォーマンスは-2.5%となり、年初来+10.6%、累計では+232.3%(6月末+240.9%)となった。8月のパフォーマンスは+5.1%となり、年初来+16.2%、累計では+249.3%(7月末+232.3%)と過去最高値を更新。8月末時点のポートフォリオの株式比率は85%で33銘柄を保有(7月末は84%で32銘柄を保有)。株式部分の含み益は+73.1%(7月末は+73.1%)。ただし、85%のうち現物株のウェートは51%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計91%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは66%のロングポジションである。

9月にはいってからの日本市場は4週続伸し、4週間における日経平均の上昇幅は3487円、上昇率は+12.9%となっており、これはかなり大きな上昇だ。今のグローバルマーケットの状況を整理すると、主力の米国市場はコロナ感染拡大による景気減速懸念と年末から始まるテーパリングを前にしてやや調整気味、欧州市場もほぼ同じ動き、中国市場はコロナ感染拡大による経済活動の停滞と中国当局の諸々の規制強化により低迷。一方の日本市場はコロナ感染縮小と政局転換による閉塞感の打破、ならびに新たな経済対策への期待で大幅上昇と対照的な構図になっている。日本市場にとっては久々の独自要因によるポジティブなマーケット展開である。

我々が一貫して注目しているNYダウと日経平均の株価格差は、8月末時点で7310ポイントであったが、現在は4755ポイントまで縮小した。通常は3000~4000ポイント程度の開きであるため、ほぼ射程圏内になってきた。現在の日経平均の1株利益は2165円。アベノミクス相場の平均PER15倍を掛け合わせると32475円。したがって、ファンダメンタルズ的には32500円程度までの上値余地がある。

中国恒大集団については基本的には中国国内の問題であり、リーマンショックのような世界的問題に発展するという体のものではない。巨額の債務を抱えて、今後も社債の利払いが次々とやってくるため常にハラハラさせられる存在には変わりないが、習近平指導部は国策としてこの企業を倒産させるわけにはいかない立場にある。来年秋の共産党大会で3期連続の国家主席に就任し、世界征服への野望達成に邁進するためには、世界の金融システムを揺るがす問題を放っておくわけにはいかないからだ。

現在、テーパリングを前にしたややボラティリティの高い局面になっているが、それを通過すると再び業績相場に戻るのが通常パターンだ。日本市場の独自要因によるポジティブなマーケット展開は継続すると見ている。したがって、外部要因による急落は安く投資できるチャンスとなる。9月のモデルポートフォリオは過去最高値を更新したが、引き続き前向きな姿勢で資産運用に注力していきたい。

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