長期資産価格循環と”日本株持たざるリスク” ~オルカンより日本株が魅力的だ~
【ストラテジーブレティン(366号)】
(1) 今、資産価格循環、Super Bubble Cycleが決定的に重要だ
国際分散投資における長期資産配分において、今ほど資産価格サイクル(バブルサイクル)が重要な時はない。各国ごとに固有の10~数10年の周期による資産価格の上昇下落循環が観測でき、各国ともに底で買って高値で売ればよい。
幸運なことに、この資産価格サイクルは国によって全く位相が異なるので、国際分散投資においては、機械的、静態的に数理モデルに基づいて配分するのではなく、資産価格サイクルにより強弱をつけるべきだ。カントリーアロケーションは、この長期資産価格サイクルに最重点を置いて配分するべきだ。特に日本はNISAにより急速に投資ブームが盛り上がっているが、その大半が「オルカン」と称される海外株式投信に流れている。ふつうはホームカントリーバイアスがあり、自国投資偏重となるのであるが、日本は逆に海外投資偏重と言う奇妙なことが起きている。これは以下に具体的に説明する各国の資産価格サイクルの位相から見て、とても非合理なことである。
主要国の資産価格サイクルを図示すると図表1のようになる。中国はサイクルのピークを過ぎたところにあり、資産投資は抑制し、cash is Kingに徹するべきだ。米国は資産価格が概ねフェフバリューにあるが、金利急騰が起きれば、直ちにバブル化する、黄色信号寸前の状態にある。バランスの取れた資産配分が望ましい。それらに対して日本は、バブル崩壊後の底入れからしばらく経った局面であるが、資産価格は割安水準にある。まさしく日本における投資リスクは日本株持たざるリスク、と言える。今年に入ってからの株価急騰に水を差した「植田ショック」「岸田ショック」の二つの政策ショックは、日本株式のボラテリティーを異常に高め、日本株式の割安さ(=高リスクプレミアム)を一層高めた。日本株式は選挙前の不透明さから、最高値近辺での迷走を続けている。しかし利上げ・緊縮財政と言う真性デフレ政策を打ち出している立憲民主党政権が成立しない限り(その可能性は無い)、選挙後の日本株買いは必至、日経平均株価は年内4.2~4.5万円、2025年前半には5万円に到達するだろう。