FM 今週のポイント(3月14日)
*ECB 理事会で追加緩和が決定しました。(1)預金ファシリティ金利の引き下げ幅こそ10bp と市場予想をやや下回ったものの、(2)主要リファイナンスオペ金利、限界貸出金利もそれぞれ5bp 引き下げ、(3)資産買い入れペース(月額)の200 億ユーロ積み上げ、(4)社債の購入開始、(5)TLTROの再開、など市場期待を上回るきわめて包括的な緩和パッケージを打ち出しました。市場は発表を素直に好感し、ユーロ圏の株式は上昇、ドル円相場も114 円まで円安に戻しました。しかし、ドラギ総裁が会見でさらなるマイナス金利の拡大を否定したことからマーケットは反転しました(「日銀型のマイナス金利の階層方式を検討し、先行きの利下げ余地を拡大させる」と見込んでいた)⇒ドラギ総裁はマイナス金利の拡大を明確に否定しています(「際限なくマイナス金利を拡大できるとは示唆したくない」「銀行部門に悪影響を与えずに、さらに金利を下げられるか。答えはノーだ」と述べた)。結局、ドイツ、フランス、イタリア、スイスと欧州主要株式市場は軒並み2%内外の下落となり、ドル円相場も一時112 円台まで円高が進行しました。
*12 月に続いてドラギマジック(ECB の市場との対話)が失敗したのか?⇒失敗ではないと思います。利下げに一定の歯止めを掛けることで金融機関の収益基盤を考慮しながら、長期資金供給策の追加で実体経済を刺激するという、より洗練された一手に、市場は遅まきながら気付きつつあるように思われます⇒ドイツ銀行の株価は欧州市場でこそ下落したものの米国市場では上昇に転じています。マイナス金利政策による銀行経営への悪影響を警戒する雰囲気が濃厚な東京市場では(ECB と日銀が競い合うように利下げするシナリオの実現がひとまず遠のいたとの連想が働き)三菱UFJ や三井住友FG が大幅上昇となりました。今回のドラギマジックに即効性は無いかもしれませんが、マーケットのコアに確実に染み込んだものと思われます。
*そもそも現状における懸念はリーマンショック型の信用収縮リスクではありません(現状で実体経済の需要を大きく上回る過剰流動性を維持している)。問題は世界景況感の下振れです⇒おそらく追加緩和で景況感を押し上げることができると本当に信じているマーケット参加者は少数派(ほとんどいない?)です。追加緩和姿勢を維持して過剰流動性のさらなる拡大を促し続けることで世界の株式市場が下落しにくくなることは事実と思われますが、株式市場を押し上げる要因にはなりません(金融緩和ではリスクオンに転じない)。今は、財政出動(直接的な景気刺激策)で景況感の減速に歯止めをかける時です。取り敢えず日本においては真水5兆円以上、消費再増税の延期(停止)から始まると思います⇒世界に先駆けた財政出動は海外投資家の日本市場を診る目を変えるかもしれません。
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