FM 今月のポイント(2016年2月)
*年初来の波乱相場も日銀のサプライズ緩和第二幕を迎えることになります。それにしても年明け早々からよく下がりましたね。日経平均株価は約3000 円、一本調子で下落しました。その間、下落する理由は様々に議論されました→原油価格の下落(世界景気、特に中国経済の低迷が背景)、サウジアラビア等の産油国の財政赤字拡大によるSWF 等のリスク資産売却観測(原油価格低迷が背景)、中国株式市場の下落・人民元の下落(中国経済の低迷が背景)、米国景況感・企業業績の低迷等々、売る材料は事欠きません。もちろん懸念、先行きに対するリスクは大きくなっていますが、株価の下落ほど実体経済が悪化したわけではありません。東証発表の主体別売買動向を確認すると、昨年12 月以降の売超部分の現物と先物のバランスは過去に例が無いほど先物偏重になっています。明らかに投機の売り仕掛けが横行したことが解ります。
*リーマンショック後の世界の株式市場は、国中央銀行の過剰流動性創出によって上昇してきました(実体経済の減速後も株価は上昇を続けた)。その過剰流動性拡大モメンタムが急速に減退する傾向があります。主因は米国の利上げではなく中国の人民元の買い支えです。今までは日米欧の3極中央銀行資産残高が議論の中心でしたが、外貨準備高急減の中国が一段と注目を集めています(人民元の安定化のため人民元買いドル売り介入を繰り返している)→外貨準備高急減=中国人民銀行の資産残高急減につながっています。これにより4極の中央銀行資産残高合計(過剰流動性)の拡大モメンタムは急速に減退しているのです。年初からの世界的な株価調整の主因は、この過剰流動性モメンタムの減退にあると考えています(売り方の中心的理論)。
*ECB のドラギ総裁は3月の追加緩和を示唆しています。FOMC では世界経済の減速、マーケットの動向に配慮したオペレーションを確認しています(2月10 日のイエレン議長の議会証言でより明確になる)。そして日銀が月末の金融政策決定会合でサプライズ緩和に動きました。マイナス金利の導入です→従来の量的・質的緩和に加えて「金利」面での緩和を進めることになりました。発表後、日経平均株価は乱高下したものの最終的には476 円の上昇、ドル円相場は一時121 円台まで円安が進行しました。日銀の目論見通りサプライズ効果を発揮したことになります。これで日米欧3極がマーケットフレンドリーを表明、実行したことになります。後は、中国です。3月の全人代前に大きな政策転換があれば(黒田総裁が提唱しているような資本規制等)世界の過剰流動性モメンタムは一気に拡大することになります。大きなショートカバーラリーの始まりです。
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