FM 今週のポイント(1月18日)
*波乱相場が続いています。先週末のWTI 先物相場は29 ドル42 セント(12 年2ヶ月ぶりの安値)、上海総合指数は3.55%下落して2900 ポイントを示現、NYダウは390 ドル下落して16000 ドルを割り込んでいます。2016 年に入って昨年末の雰囲気から一変、下落相場に歯止めがかからなくなってきました。ファンダメンタルズに大きな変化が無い中での急下落相場は何を意味するのでしょうか?
*先ず、本当にファンダメンタルズに大きな変化が無いのか確認する必要があります。現状で世界のファンダメンタルズと言えば米中経済です。米国は昨年12 月に利上げ転換したばかりで米国内的には景況感が安定していると思われます(FRB の景気判断を信じましょう)→直近の雇用統計も上ブレしています。注目されている平均時給(雇用の中味を表す重要な指標)は前年同月比2.2~2.3%増程度でパッとしませんが、平均時給の先行指数となる”後賃金を引き上げる予定のある中小企業の比率”は大きく上昇しており、平均時給が引き上がる可能性が高まっています。年初より懸念が高まっていたISM 製造業指数の低下傾向も先行指数を見ると減速に歯止めがかかりそうです。また、原油価格の下落はガソリン価格の低下を齎し米国個人消費には大きなプラス効果となることは間違いありません。米国経済に大きな下振れリスクがあるとは考えられません。そして問題の中国経済です。中国国家統計局は19 日に2015 年10-12 月期のGDP 成長率を発表します→実質成長率は前年同期比6.9%と7-9 月期と同水準の見込みです。輸出の減少で製造業の設備投資が停滞していることは間違いありません(13 日に発表された12 月の輸出額は前年同期比1%の減少で6カ月連続のマイナス)→12 月の製造業PMI は49.7 と好不況の節目の50を割っています。資源や素材価格の下落で関連産業の設備投資が落ち込んでいることも事実です→国有企業の再編が加速しており設備の統廃合が進み将来的には生産能力の過剰感が解消することはポジティブですが、短期的には景況感を下振れさせる要因になります。このような状況でもGDP が大きく落ち込まないのは堅調な個人消費のおかげです。12 月の自動車販売台数は約280万台と前年同期比で15%増加、3カ月連続の2桁増です(小型車に対する取得減税の効果)。またガソリン価格の低下が個人消費を押し上げる構図は米国と同様です。上海総合指数の大幅下落は個人消費の下押しに繋がらないのか?→中国の全世帯の1割程度が株式投資を行っているとされています→完全にバブル崩壊となり2500 ポイント程度まで下落しても個人消費全般を大きく揺らすことは無いと思います(共産党関係者の多くが株式投資をしているため中国政府は株安持続を看過出来ない)。3月には全人代が開催されます。習近平国家主席は6.5%成長を死守する構えです→株価対策ではなく実体経済を刺激する具体的対策が近々、打ち出されるものと思われます。
*冷静に考えて見ると米中経済が大きく落ち込むようなことはありません。現場の株価はファンダメンタルズに対して大きく売り込まれています。原油価格の低迷、中国経済への不安感を活用したCTA の売り仕掛けが主因です。何処かで彼らは買い戻しを行います。ニュートラルゾーンまでの反転上昇は早いと考えています。
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