生成AIの行方

2024/06/03

・まずはCopilot(マイクロソフトのAI)に、「生成AIの行方」を聞いてみた。以下が最初の反応である。

・「オープンAIが2022年11月に公開した「ChatGPT」から始まった生成AIブームは、世界中で注目を集めています。ChatGPTは対話型AIで、コンテンツ(文書やソースコード、画像、音声など)を自動生成する能力を持っています。その後、企業は生成AIの可能性を活かし、生産性を向上させ、自動化の取り組みを拡大しています。」

・「巨大テック各社も生成AIに注目し、競争を繰り広げています。また、数十億ドルの投資を受け、多くの生成AIスタートアップが誕生しています。生成AIは医療、金融、小売業などさまざまな分野で活用されており、今後も進化を続けていくことでしょう。」

・特に、問題はない。過去の情報から何らかの基準で簡単にまとめているだけである。ちょっと知るには便利である。外部の情報を検索しているので、情報が一般的で大量にあれば、それらしい反応が返ってこよう。

・もっと本格的に学習させたらどうだろうか。圧倒的スピードで学習し、知りたい項目に対する準備を的確に用意してくれるとなれば、これもありがたい。ヒトが判断する上での材料がコンパクトにまとまっておれば、意思決定がしやすい。

・では、自分の脳はどのように鍛えるのか。何でも聞けば便利に答えてくれるので、AIに頼れば、勉強して覚える必要はない。「覚えたことは忘れる。分かったことは忘れない。」とすれば、暗記ではなく、きちんと理解しておけばよい。でも、その理解の仕方もAIに頼るのだろうか。

・‘これはAIがまとめたものだ’と、すぐに見破れるか。それもAIにやらせるのか。見破れられないような内容にまとめてくれ、と指示すれば、それで済みそうである。大学でのレポート作成にAIを使えばよい、仕事の資料作りにAIを活用すればよい、という行動は当たり前になっている。

・使えるならどんどん使えばよい。でも、1)それが盗作になっていないか、2)まとめた中身にユニークさはあるのか、3)オリジナリティは生まれるのか、ということが問われる。

・① AIはまとめるだけである。参考にするだけなので、盗作は気にしなくてよい。② AIのまとめに個性など求めていない。一般的な情報で十分である。③ 新説や新発見を期待しているわけではない。そもそもそんなことができるはずがない。と、考えそうだが、本当だろうか。

・AIでクリエーティブなことができるのか。所詮ものまねではないか。まねといっても、何重にも編集していると、新しいことが見えてくるかもしれない。誰がどう発信したのか、それをどう利用したのか。履歴をトレースするような、オリジネータプロファイルの管理も重要になっている。まさにAIガバナンスのあり方が問われる。

・SNSで偽情報が氾濫している。偽情報を拡散して、情報操作をしようというのが戦術になっている。国家戦術、企業戦術、犯罪戦術の常套手段になっている。それを防ぐ必要がある。騙されないようにする必要がある。守るためのルールを組織として作り、徹底していく必要がある。さもないと、これまでの社会の秩序が崩れてしまいそうである。

・AIは人間がやることは全て学んで行く。やばいこともしっかり学ぶはずである。個人、組織、国のどのレベルととっても、悪いことをする人間はいる。ディープフェイク(高度な偽情報、偽画像、偽動画など)に引っかからないようにするには、こちらもAIで武装する必要がある。

・EU議会は、3月に包括的なAI規制法を定めた。生成AIの文書作成、画像・動画生成が「ディープフェイク(とんでもない偽情報)」をもたらしているので、これを法的に規制し罰するようにした。偽情報、偽画像、偽動画が既に氾濫していることによる。5月にOECDは、AIに関する国際的な指針「AI指針」を改定した。

・人は騙されないようで、容易に騙されやすい。自分はそんなことにはならないと思っても、なるほどそうなんだと、妙に信じてしまうことも多い。ひっかける側は、悪意を持って仕掛けてくる。AIに対するサイバーセキュリティも、これから本格化してこよう。

・生成AIの世界市場は、2024年で既に10兆円規模に成長しているが、2030年には30兆円に拡大するという予測もある。半導体、サーバー、電力、生成AIを利用する既存産業、地方創生まで含めれば、その影響は一段と広がろう。ソフトバンクグループの孫氏が予測し、実践してきた投資が先見の明を発揮しつつある。

・ヒトを情報処理システム、制御システム、意思決定システムをみなす時、コンピュータの情報処理能力とスピードはすさまじい。量子コンピューティングへの期待も高まっている。

・制御システムとしてのロボットは至る所で高度化している。サービスロボット、医療ロボット、宇宙開拓の人型ロボットなど、ますます広がろう。福島原発の廃炉処理AIロボットの開発も急がれる。

・意思決定システムとしてのAIは、ヒトを超えるのか。ヒトを超えても、善を弁(わきま)えてくれればよいが、目的のために手段を選ばず、‘目には歯を’という行動をリードするとすれば、それは人類にとって危うい。兵器用AIはその典型であろう。この開発も進みそうである。

・AI戦車、AIミサイル、AI原爆が高度化してこよう。民需と軍需は紙一重である。開発を指示するのは人であり、開発のアイディアも人に依存する。しかし、一定レベルを超えてくると、AIが独り歩きしそうで、止められないかもしれない。

・ビジネスでの生成AIは、独自のデータを入れ、貯めて、壁打ちに使う。SBグループでは、社員2万人に使えるようにして、ワンストップのサービスとしている。

・データの利用では、形の整ったデータだけでなく、文字や音声、画像などのまとまっていない非構造データも分析できるようになってきた。新しい文章やプログラム、新しいイラスト、絵、デザインなどが作り出されるようになった。

・プロンプト(ユーザーが入力する質問)を使って会話ができる。質問に回答が出てくる。これを次々に展開する。何かを抽出して、それを拡張していくことができる。ついには、さほど価値のないものから、新しい価値を創出することができるようになる。これは画期的である。

・ジェネレーティブ(Generative)とは、何かを作り出すという意味で、新しい文章や画像を次々に生み出してくる。これがうまくいくと、生成AIは、意味が理解できるといえるし、先が予測できるともいえる。

・AIを使って、定型的作業の効率化を図ることができる。簡易な要約文章を作ったり、定型的な分析レポートを作成したりすることで、労働時間を減らすことができる。こうした効率化だけでなく、新しい付加価値を生み出すこともできる。新製品や新サービスの企画やデザインに活用することで、創造的な作業も分担できるようになる。

・では、今のAIが特別かというと、そうでもない。ヒトの脳の働きを外部のシステムに置き換えて、その処理能力を大幅に高めている。使い方を制御できれば、大いに任せたい。われわれの活動領域も一段と広がろう。

・但し、悪巧みを考える人間がAIを悪用することは、しっかりと防ぐ必要がある。何が悪巧みかという点では、そこに価値観が入ってくるので、倫理観も問われる。AIにもジェネラティブに倫理を学んでもらう必要があろう。

・AIはおもしろい。しかし、無邪気に利用するだけでは済まない。哲学的な節度を事前に踏まえておく必要がある。まずは、趣味と仕事で使ってみる。そして、その利便性と限界を体験する。

・第2に、ビジネスとして稼ぐことを構想し、実践する。まねされないような工夫で、先行する必要がある。第3に、社会的インパクトを視野に入れて、社会的価値とのWin-Winを図る。こうなれば本物である。

・投資家としては、AI関連ということにだけで踊らされることなく、AIを活用して、価値創造ができる企業に大いに投資していきたい。

株式会社日本ベル投資研究所
日本ベル投資研究所   株式会社日本ベル投資研究所
日本ベル投資研究所は「リスクマネジメントのできる投資家と企業家の創発」を目指して活動しています。足で稼いだ情報を一工夫して、皆様にお届けします。
本情報は投資家の参考情報の提供を目的として、株式会社日本ベル投資研究所が独自の視点から書いており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではありません。また、情報の正確性を保証するものでもありません。株式会社日本ベル投資研究所は、利用者が本情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

このページのトップへ