英国経済の現状と見通し~景気とポンド相場について
- 実質GDP成長率は前期比年率+0.7%でした。個人消費が振るわず、生産活動も抑えられました。
- EU離脱後もしばらくは企業活動が慎重ながら、良好な雇用・所得環境が景気を下支えすると見ています。
- 先行き不透明感が根強いものの、為替変動の景気への影響を反映し、ポンド相場は底堅いと考えます。
年末商戦不調も今後の景気は底堅い
11日、ONS(英国家統計局)が発表した18年10-12月期の実質GDPは、前期比年率+0.7%でした。2期連続で成長率が上昇しましたが、急減速しました。前年同期比は+1.3%でした。実質GDP成長率に対する寄与度は、内需が7-9月期の+3.3%から+1.2%へプラス幅が大きく縮小しました。また、外需は-0.5%とマイナス幅がやや縮小しました。
内需は、個人消費中心に減速しました。年末商戦は初期だけ盛り上がったのみで全般的に振るわず、10-12月期の小売売上高は前期比-0.1%にとどまりました。また、EU(欧州連合)離脱を控えて企業活動が慎重になっていることもあり、鉱工業生産も同-1.0%と軟調で、在庫投資が抑えられたことも内需減速につながりました。19年、20年の実質GDP成長率についてはそれぞれ+1.5%、+1.6%を予想しています。企業活動は引き続き慎重ながら、良好な雇用・所得環境が景気を下支えし、個人消費は今回は不調ながらも基本的に底堅いと見ています。
離脱後の不透明感は強いが・・・
ポンド相場は、国民投票によるEU離脱選択(16年6月)前よりも、ほぼ一貫してポンド安の水準で推移しています。16年後半は、Hard Brexit(単一市場残留なしのEU離脱)に対する不安感から大きく下落しました。しかし、ポンド安が景気を刺激し、利上げが再開されたことが好感され、18年1~4月は対ドルで国民投票以前の水準を回復しました。
その後は、世界的な景気減速への懸念に加え、No deal Brexit(合意無き離脱)への不安感もあり軟調です。しかし、Hard Brexitが懸念された時期と違い、ポンド安の景気刺激効果も認識されたため、16年後半ほどのポンド安とはなっていません。今後は、離脱後は実際の経済状況による変動はあるものの、景気への影響が反映されて相場の振れは抑制され、安定した成長見通しもあり、ポンドは基本的に底堅いと考えます。
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