南アフリカの18年4-6月期GDP~南ア経済が抱える課題
- 実質GDPは前期比年率-0.9%と2期連続のマイナスでした。個人消費の不調が目立ちました。
- 業種別の生産動向では、干ばつに見舞われて農業生産が大幅減少し、全体の足を引っ張りました。
- 景気不振で通貨ランドは当面神経質な展開が避けられず、ラマポーザ大統領の政策手腕が問われます。
テクニカル・リセッション
4 日、南アフリカ(以下、南ア)統計局が発表した18年4-6月期の実質GDP(支出ベース)は、前期比年率-0.9%でした。1-3月期(同-2.6%)から2期連続マイナス成長となり、南ア経済は、テクニカル・リセッション(景気後退)に陥った形です。なお、前年同期比は+0.6%でした。
今回は特に個人消費が不振で、9四半期ぶりびマイナスで前期比年率-1.3%でした。雇用環境の悪化が影響したと見られます。また、在庫投資が大幅に減少し、前期比年率に対する寄与度は-2.9%でした。天候不良からくる干ばつで農業生産が不振で、農林水産業が前期比年率-29.2%と急減し、在庫取り崩しを余儀なくされたと見られます。一方、外需(輸出-輸入)は、鉱業生産の回復で輸出が持ち直し、3期ぶりのプラス寄与となりました。南ア準備銀行(SARB)は7月の金融政策報告で、18年の実質GDP成長率を+1.2%と見込んでいます。4月報告の+1.7%から下方修正ですが、現状では+1%台乗せも微妙な情勢となってきました。
依然難題多く、改革急務
ランド相場は神経質な展開です。米金利上昇による新興国通貨全般に対する逆風に加え、トルコリラ急落による不安感の拡散も痛手でした。また、土地改革に対してトランプ米大統領が批判したことも、ネガティブな影響となりました。
ラマポーザ大統領は、経済立て直しのための改革を積極化させ、国の信用、延いてはランドの信任を高めるべく、今後の政策の手腕が問われます。財政健全化と雇用対策が急務です。一方、土地改革はアパルトヘイト(人種隔離政策)時代の白人の大規模土地所有を黒人へ再配分する政策ですが、センシティブな問題に加え、経済効率性の観点から、改革実施に伴う経済活動への影響が不透明な点が、ランドにとっては不安材料と見られます。
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