インドネシアの金融政策~緊急利上げと今後の市場展望
- 中銀は臨時理事会で、政策金利を0.25%引き上げ4.75%としました。1ヵ月で2回の利上げです。
- 米利上げ、米中貿易摩擦、その他地政学的リスクなど、新興国に逆風の流れに前倒しで対応しました。
- 通貨ルピアの下落には、当面はルピア買い介入と利上げで対応し、インフレ目標達成を目指します。
通貨、経済の安定へ先手
インドネシア銀行(BI、以下、中銀)は30日、臨時理事会を開き、政策金利であるBIレート(7日物レポ金利)を0.25%引き上げ、4.75%としました。17日の定例理事会に続き、今月2回目の利上げです。
中銀は、今回の利上げについて、米国の利上げや世界資本市場における各種リスクの増大に対して、市場の安定、特に、このところ下落傾向を強めているルピアの安定を維持するため、先手を打った、としています。声明文の冒頭で、今回の政策判断を”pre-emptive”、”front-loading”、”ahead-of-the-curve”な動きと、似た意味の言葉を三つ重ねて、その的確性をアピールしており、中銀の強い意志が見て取れます。今後も中銀は、ルピア買い介入をはじめ、適切な流動性供給、市場関係者との密接な情報交換などによって、通貨価値を安定させ、インフレ目標の達成と経済の安定を目指します。
中銀の信認維持も、政策総動員態勢は変わらず
今回の臨時理事会は、25日に開催が発表されたため、市場はすでに反応しています。ルピアの対ドル相場は28日、約2週間ぶりに1ドル13000ルピア台を回復、代表的株価指数のJCI(ジャカルタ総合指数)は、25日の日中に、同じく2週間ぶりに6000の大台を回復しました。
ルピアの対ドル相場は、現時点も1ドル14000ルピア近辺、JCIは6000近辺で推移しており、今回の政策判断に対して、市場からのネガティブな反応は今のところ見られず、中銀の信認はひとまず維持できたと考えられます。今後も米国が利上げを続け、新興国全般が投資資金流出のリスクを抱えるなか、中銀は、市場、経済の安定に向け、追加利上げなど、政策総動員での対応をしていくと考えます。
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