日銀、追加緩和決定、初のマイナス金利導入
- 28-29日の金融政策決定会合で、日銀は当座預金に対する初のマイナス金利導入を決定しました。
- マイナス金利は、貸出等銀行の本来業務以外で新たに積み上がった日銀当座預金に適用されます。
- 銀行貸出、海外投資等が促される効果があると考えられ、円安・株高要因になると考えられます。
大方の予想に反した思い切った措置
1月28-29日、日銀金融政策決定会合が開かれました。年初からの世界的な資本市場の混乱、インフレ期待の後退などから、一部で追加緩和期待が高まっていましたが、これ以上の緩和強化の効果を疑問視する向きも多く、事前の予想は「今回は見送られる」が大勢でした。
こうしたなか、日本初の、日銀当座預金(銀行が日銀に預ける預金)に対するマイナス金利導入が決定されました。利率は-0.1%です。ちなみに、マイナス金利とは、「預金すると利息や手数料などを取られる」ことを意味します。
マイナス金利は、量的緩和等で供給した資金の日銀内での滞留を抑え、他の投資対象に資金が振り向けられるように促し、経済活動を活性化させる目的があります。市場はこれを好感し株価は大幅上昇、日経平均株価は1万7518.30円と前日比+476.85円し、ドル・円相場は午後4時時点で1ドル120.60円近辺にあり、年初以来の120円台へ円安・ドル高が進んでいます。
米国と日欧の金融政策の方向性の違いを改めて確認、基本的にドル、株価にポジティブ
マイナス金利はすべての日銀当座預金には適用しません。①基礎残高:昨年の平均残高までは従来通り+0.1%です。また、②マクロ加算残高:貸し出しなど銀行の本来業務に伴って新たに積み上がる部分はゼロ金利とします。これは、一定のルールに基づき、基礎残高に加算されます。③政策金利残高:それ以外の要因で積み上がった部分については-0.1%とします。マイナス金利を嫌って銀行で現金保有するケースが考えられますが、その場合は現金保有増加分を②ないし①の部分から控除し、その部分にマイナス金利を適用します。
先進国の金融政策は、米国が利上げを開始した一方で、日本、欧州は引き続き緩和を強化するという、政策の方向性の違いが改めて示された形です。緩和強化によって、景気下支えと期待インフレ率上昇が促されるほか、年初来の世界的な資本市場の混乱を沈静化させる一助となり、当面は円安、株価上昇などの効果が期待されます。
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