日銀の金融緩和強化策について~市場への影響と今後の注目点
- 米ドル供給の強化、企業金融支援特別オペ導入、CP・社債、ETF・J-REITの買入増額が主な内容です。
- 政策金利、長短金利操作、長期国債買入の姿勢は変化なく、金融政策の基本部分は温存されました。
- 市場は織り込み済みで、結局、前向きな反応にはなりませんでした。今後は財政面の対応に注目です。
増大する目先の資金需要に対応
本日、金融政策決定会合が前倒しで開かれ、「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について」が発表されました。金融緩和の内容は以下の表のとおりです。世界的に経済活動が滞る中で、米ドル資金への需要増大に対応したほか、国内でも企業活動が抑制されているのに対応し、運転資金の供給を充実させます。市場に直接働きかけることが期待されるのは、ETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)の買入倍増ですが、すでに事前に情報が出ていたこともあり、驚きはありません。
一方、日銀当座預金の一部に適用する政策金利-0.1%と、10年物長期国債金利の誘導水準を0%とする長短金利操作、長期国債保有残高の年間増加額のメドを80兆円とする、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」については、変更ありませんでした。金融政策の基本部分は温存されました。
今後は財政面の対応に注目
市場の反応は前向きなものにはなりませんでした。発表された政策の内容のほとんどが事前に市場で取りざたされていたもので、新味は特になく、結局、円高・ドル安、株安となりました。ドル・円相場は、午後3時時点で1ドル106円台半ば、日経平均株価終値は前日比429.01円安の17,002.04円でした。
今後は、財政出動による対応策が注目されます。これまで、新型コロナウイルスに関連した対策(財政措置)は、第1弾で総額153億円、第2弾で総額4308億円が発表されました。しかし、経済活動が停滞したことによる急速な景気減速に対する、経済全般に影響する対策が打たれたとは言いにくい状況です。本日、安倍首相は、参議院予算委員会の集中審議で、追加の経済対策について、「今週中」をメドとし、「相当思い切った対策」を目指す旨の発言をしており、これまでよりも規模の大きな財政出動が期待されますが、今のところ規模、内容については不透明です。当面、為替相場、株価は、財政出動の具体的内容や、海外での様々な政策対応に神経質に反応する展開になると見込まれます。
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