来週の金融市場見通し(2025年5月5日~2025年5月9日)
■来週の見通し
米国との貿易交渉でインドとの取引成立が近づいている、また米政権が中国に関税交渉を求めて接触してきていると伝わったことなどから、貿易摩擦への過度な警戒が後退してきています。他方、日銀は政策金利を据え置きました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げは見送られるとみられますが、パウエル議長が今後の利下げについて前向きな姿勢を示すかが注目されます。米雇用統計を受けた米金融市場の動きに加え、米政権の関税政策の動向、また本格化している決算発表も確認したいところです。
◆株価 :米雇用統計やFOMCに注目
今週の日本株は、上昇しました。日銀の植田総裁が金融政策決定会合で追加利上げに慎重な姿勢を示したことを受けた円安進行が株価を押し上げました。また、国内企業の決算発表で自社株買いの実施表明が相次いだことも好感されました。
来週の日本株は、2日に発表される米雇用統計や6~7日に実施されるFOMCを受けて、上下に変動する展開が見込まれます。米雇用統計が雇用の底堅さを示す内容になると、安心感から株価は上昇する可能性があります。また、FOMCで利下げに慎重な姿勢が示されると株価を押し下げる可能性がありますが、利下げに前向きな姿勢が示されると株式市場は好感するとみられます。トヨタ自動車などの国内主要企業の決算発表も株価を動かす材料になりそうです。
◆長期金利 :居所を探る
今週は、トランプ米政権と相手国との関税交渉が進展するとの期待が広がったものの、2025年1-3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値がマイナス成長となり、景気懸念から米長期金利が低下したことなどを受け、国内の長期金利も低下する動きになりました。日銀会合で物価の見通しが前回1月より下方修正されたことから、早期利上げ観測が後退し、長期金利は1.3%を下回りました。
来週は、米雇用統計を受けた米長期金利の動きに加え、関税交渉やFOMCを確認しながら、居所を探ることになりそうです。日銀は利上げを継続する姿勢を維持しましたが、物価見通しが引き下げられたことから、長期金利はやや上昇しにくい状況です。とはいえ、関税交渉に進展が見られると、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。10年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :上値を探る
今週のJ リート市場は、株式市場とともに上昇し、年初来高値を更新しました。日銀が米相互関税措置の影響による経済の成長ペースの鈍化や先行きの不確実性を背景に利上げに慎重な姿勢を示したことが好感されました。今週末の分配金利回りは4.999%(東証上場REIT の予想分配金利回り、QUICK 算出)でした。
来週は、日米長期金利や米国と各国の貿易交渉の動向をにらみながら、上値を探る展開となることが見込まれます。米国政府が対中関税措置について交渉姿勢を軟化させる動きを見せているほか、日銀が利上げに慎重な姿勢であることは安心材料です。5%程度の予想分配金利回りに着目した一定の買いがJリートを下支えするほか、年初来高値を更新したことで買いが勢い付き、Jリート市場を押し上げる可能性もあります。
◆為替:底堅い
今週は、米景気の後退懸念や米関税政策の先行き不透明感を背景に、ドル円は週前半、142円程度まで下落しました。しかし、米関税政策の一部緩和や日米関税協議進展の期待に加え、日銀の金融政策決定会合の結果、利上げが先送りされるとの見方が強まり、ドル円は、週末にかけ一時145円台後半まで上昇しました。
来週のドル円は、底堅い展開が見込まれます。引き続き米関税政策や米中貿易戦争の先行き不透明感が続く中、世界的な景気減速が懸念されており、米長期金利の上昇余地は限られそうです。とはいえ、米関税政策への過度な懸念は和らいでおり、また、日銀が金融政策決定会合において、経済・物価の見通しを引き下げ、下振れリスクが大きいとしたことで利上げが先送りされるとの見方が強まっており、ドル円を下支えしそうです。
◆米国株 :米雇用統計やFOMCに注目
今週の米国株は、堅調な動きとなりました。マイクロソフトなどの米主要ハイテク企業の良好な決算が好感されました。4月29日にトランプ政権が自動車・部品関税の負担軽減措置を発表するなど、関税措置を緩和する姿勢を示していることも株価を支えたとみられます。半導体関連株は、決算発表後にクアルコムの株価が大きく下落したことが重しとなり上値の重い動きとなりました。
来週の米国株は、2日に発表される米雇用統計や6~7日に実施されるFOMCを受けて、上下に変動する展開が見込まれます。米雇用統計が雇用の底堅さを示す内容になると、安心感から株価は上昇する可能性があります。また、FOMCで利下げに慎重な姿勢が示されると株価を押し下げる可能性がありますが、利下げに前向きな姿勢が示されると株式市場は好感するとみられます。
■来週の注目点
毎月勤労統計調査(3月) 5月9日(金)発表
毎月勤労統計調査によると、2月の名目賃金(現金給与総額)は前年比+2.7%の増加と、前月(同+1.8%増)から伸びが拡大しました。また、実質賃金は-1.5%と、2か月連続で減少しました。基本給にあたる所定内給与を中心に名目賃金は高めの伸びが続いたものの、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかない状況が続いています。
3月についても、実質賃金はマイナス圏での推移が続くとみられます。今年の春闘での賃上げ率は昨年を上回る伸びとなっていますが、多くの企業において、実際の支給賃金に反映されるのは4月以降とみられます。
米ISM非製造業景況指数(4月) 5月5日(月)発表
3月の米国のISM非製造業景況指数は50.8と低下し、9か月ぶりの低水準となりました。内訳をみると、企業活動の指数が上昇した一方、新規受注や雇用の指数が低下しました。ただし、依然として好不調の目安となる50を上回る推移が続くなど、悪化幅は限定的でした。
4月の米ISM非製造業景況指数は50.4と、小幅悪化が予想されます。米国の関税政策により悪影響を受けるのは製造業セクターが中心とみられますが、消費者マインドが急速に悪化するなかで、非製造業の景況感も弱含むことが見込まれます。
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