来週の金融市場見通し(2025年5月12日~2025年5月16日)

2025/05/09

■来週の見通し

米国、英国の両政府が2国間の貿易協定を締結することで合意し、また、米中通商協議も10、11日に開かれる予定となったことを受けて、世界的な貿易摩擦の拡大や経済悪化への懸念が後退しています。他方、米連邦準備理事会(FRB)は3会合連続で政策金利を据え置きました。パウエル議長は記者会見で「不確実性がさらに高まった」とし、早期の利下げには慎重な姿勢を示しました。来週は、米中通商協議の進展に加え、4月の米消費者物価指数(CPI)で関税政策の米インフレへの影響も確認したいところです。

 

◆株価 :米中の貿易交渉に注目

今週の日本株は、上昇しました。米英両政府が貿易協定の締結合意を発表したことやトランプ大統領が中国に対する関税引き下げの可能性に言及したことが好感されました。また、国内企業の決算発表で自社株買いの実施表明が相次いだことも株価を押し上げました。

来週は、10~11日に予定されている米中の貿易交渉が株価を動かす材料となりそうです。交渉が進展し、双方が課している高関税を引き下げるとの見方が強まると株価を押し上げそうです。ただし、米中両政府は、安易に譲歩しない姿勢を見せていることから、交渉が停滞する可能性も高く、注意が必要です。1~3月期の日本の国内総生産の発表やソフトバンクグループなどの国内主要企業の決算発表も株価を動かす材料になりそうです。

 

◆長期金利 :居所を探る

今週は、前週末発表の4月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回ったほか、米ISM非製造業景況感指数が市場予想を上回るなど、米景気の底堅さが意識されたことから、米長期金利ともに、国内の長期金利も上昇する動きになりました。米国と英国が貿易協定締結で合意したことや、米中通商協議への期待から投資家心理が改善したことも、国内金利を押し上げました。

来週は、米中通商協議が進展すると、安全資産とされる国債を売る動きが一段と強まり、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。また、米CPIが上振れると、FRBが利下げに慎重な姿勢を続けるとの観測が広がることも想定されます。とはいえ、関税協議をめぐる不透明感は払しょくされておらず、金利上昇を抑制しそうです。30年、5年国債入札も確認したいところです。

 

◆Jリート :押し目を探る

今週の J リート市場は、週末に開催される米中貿易協議への期待感などから株式市場が堅調に推移する中、節目となる東証REIT指数(配当なし)1,750ポイント付近で戻り売りが出て下落しました。今週末の分配金利回りは 5.049%(東証上場 REIT の予想分配金利回り、QUICK 算出)でした。

来週は、日米長期金利や米中貿易協議の動向をにらみながら、押し目を探る展開になることを想定しています。米国政府が対中関税の大幅引き下げを検討していると報じられているものの、協議が物別れに終わる可能性もあります。とはいえ、日銀が利上げに慎重な姿勢に転じたことは安心材料であるほか、5%程度の予想分配金利回りに着目した一定の買いがJリートを下支えすることが期待されます。

 

◆為替:底堅い

今週前半は、米景気の後退懸念や米関税政策の先行き不透明感を背景に、ドル円は142円台前半まで下落しました。しかし、週末にかけ、トランプ大統領が英自動車に対する輸入関税の大幅な緩和を含む、英国との貿易協定合意を発表したことに加え、対中関税が引き下げられる可能性についても言及したことで、リスク選好の動きが優勢となり、ドル円は一時146円台まで上昇しました。

来週は、対中国だけでなく、日本などの主要貿易国との関税協議に一定の進展が期待され、リスク選好の動きが優勢となることが想定されます。それを受け、ドル円は底堅い展開となりそうです。とはいえ、それぞれの関税協議の行方は予断を許さず、特に米中協議は難航が予想されることから、ドル円の上昇余地は限定的となりそうです。

 

◆米国株 :レンジ継続

今週の米国株は、一進一退の動きとなりました。トランプ大統領が5日、2週間以内に医薬品への関税について発表すると述べたことが嫌気され、調整する場面がありましたが、8日に米英の貿易協定が締結されたことや同大統領が中国に対する関税引き下げの可能性に言及したことが好感され、週後半は上昇しました。半導体関連株は、トランプ政権が半導体の輸出規制案の見直しを検討していると報じられたことが好感され、堅調な動きとなりました。

来週は、米中の貿易交渉が株価を動かす材料となりそうです。交渉が進展すると株価を押し上げることが期待されますが、双方ともに安易に譲歩しない姿勢を見せていることから交渉が停滞する恐れもあります。米小売売上高や米消費者物価指数などの経済指標の発表も相場を動かす材料となりそうです。

 

 

来週の注目点

GDP統計(25/1-3月期、1次速報) 5月16日(金)発表

2024年10-12月期の実質GDP(国内総生産)は前期比年率+2.2%と3四半期連続のプラス成長となりました。個人消費や設備投資が増加したほか、財輸入の減少が成長率を大きく押し上げました。

2025年1-3月期については、1年ぶりとなるマイナス成長が予想されています。食料品を中心とする物価上昇を受けて、個人消費が停滞したほか、米国の関税政策を巡る不確実性が設備投資を下押しした可能性があります。

 

米小売売上高(4月) 5月15日(木)発表

3月の米国の小売売上高は前月比1.5%の増加と、おおむね市場予想通りの内容となりました。米国政府による関税政策による価格引き上げを見据えた駆け込み購入が自動車を中心に消費を押し上げたとみられます。

4月の小売売上高は、前月比0.0%と横ばいでの推移が見込まれます。4月時点では関税政策を受けた値上げの動きは限定的とみられますが、想定を超える関税政策の発表を受けた消費者マインドの悪化が個人消費を抑制した可能性があります。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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しんきん投信「来週の金融市場見通し」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
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