ユーロ圏の10月景況感について
- ユーロ圏の10月景況感指標は、一部に下げ止まった感はあるものの、全体的には依然弱い状態です。
- 在庫削減圧力が強い状態は改善せず、依然生産が抑制されており、景気下押しリスクとなっています。
- 粘り強い金融緩和の継続が、企業の景況感を押し上げ、中長期的にユーロに追い風になると考えます。
企業景況感は下げ止まりも、市場参加者は警戒
ユーロ圏の10月景況感は、企業景況感には下げ止まりの動きも見られましたが、全体的には依然弱い状態が続いています。24日にIHS Markitが発表したPMI(総合)は、前月比+0.1の50.2と、ごく小幅ながら上昇しました。製造業は横ばい、サービス業は同+0.2と、製造業が依然弱い展開です。また、25日にCESifoが発表したドイツ企業景況感指数(ifo指数)は同横ばいの94.6(2015年=100)でした。現況指数の同-0.8に対し、期待指数が同+0.6とさらに悪化するという見方はやや後退しました。
なお、ZEW指数※(期待)は前月比-1.1の-23.5、センティックス経済信頼感指数☆(総合)は同-5.7の-16.8でした。ドイツを中心に弱い経済指標の発表が相次ぐ中、市場参加者は、金融緩和による景気回復期待はあるものの、厳しい状況は当面続くとの見方が根強く、9月には一旦回復したものの、再び低下する展開となりました。
※ZEW指数:ドイツの調査機関ZEW(欧州経済研究センター)がアナリスト、機関投資家、市場関係者に対するアンケート調査を基に算出
☆センティックス経済信頼感指数:ドイツの調査会社センティックス社が個人投資家、機関投資家に対するアンケート調査を基に算出
景気重視の政策姿勢が中長期的にはユーロに追い風
ユーロ相場は月初から反発しました。英国のEU(欧州連合)離脱問題、米中交渉などの懸案の進展に対する期待がユーロを押し上げました。しかし、景気実態の厳しさを受け、足元では押し戻されています。
ドラギ総裁による積極財政の必要性に触れる発言など、景気重視の金融・財政政策への期待が高まるとユーロが買われる傾向にあると見られます。積極財政の可能性はまだ不透明ですが、少なくとも粘り強い金融緩和が企業の景況感を押し上げ、中長期的にはユーロに追い風になると考えられます。
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