豪金融政策(2019年8月)~豪ドル相場をどう見るか?
- 政策金利は1.0%で据え置きでした。足元の経済指標が落ち着き、ひとまず様子見となりました。
- RBAは、米中貿易摩擦の再燃や、個人消費の先行き不透明感など景気下押しリスクを警戒しています。
- 当面、波乱含みの展開ですが、米国では追加利下げも予想され、持ち直す局面もあると考えます。
景気下押し圧力警戒し低金利継続
本日、オーストラリア〔豪〕準備銀行(以下、RBA)は、定例理事会で政策金利であるキャッシュレートを1.0%に据え置きました。2会合連続で0.25ポイントずつ引き下げた後、3ヵ月ぶりの据え置きです。
これまでの利下げは、景気減速がRBAの想定より速かったこと、CPIが下振れしたこと(1-3月期は前年同期比+1.3%)、住宅市場不振による家計の景況感悪化で個人消費の減速リスクが高まること、などを背景に実施されました。足元では、企業、家計の景況感に下げ止まりが見られ、4-6月期のCPIが前年同期比+1.6%とやや回復したことなどから、ひとまず様子見する姿勢になりました。しかし、景気下押し圧力は依然として根強く、現行の低金利を相当期間継続する必要があるとしています。
米追加利下げ、リスク選好回帰による持ち直し局面も
豪ドル相場は、長短金利の低下傾向が強まり、7月下旬頃から弱い展開でしたが、8月に入って急落しました。トランプ米大統領が対中輸入に対する関税強化を表明し、リスク回避の投資行動が一気に強まったためです。一時1豪ドル0.675米ドル、71.2円まで下落しましたが、その後切り返し、6日夕刻時点では0.68米ドル、72.2円近辺で推移しています。
米中貿易摩擦の再燃が波乱要因となり、当面は不安定な相場展開を余儀なくされそうです。しかし、米国では年内に追加利下げも予想され、米豪金利差拡大傾向が一巡することが期待されます。また、利下げによって景気失速リスクが後退し、投資資金のリスク選好が現在よりも高まることも期待されます。その場合、投資先多様化の一環として豪ドル資産へ資金が回帰し、豪ドルが持ち直す局面があると考えられます。
また、中長期的には、7月に成立した減税政策が、豪ドルに対するプラス要因に挙げられます。中・低所得層中心に所得が押し上げられ、利下げとの相乗効果で豪経済が押し上げられ、これが豪ドルの見直しにつながることも考えられます。
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