ユーロ圏の7月物価・6月雇用~金融政策への影響は?
- 7月HICPは総合が前年同月比+1.1%、コアが同+0.9%と、景気のもたつきから低位が続きます。
- 6月失業率は7.5%と、金融危機後の最低水準でした。国別では動きにバラつきが見られました。
- 何らかの金融緩和策に踏み切る可能性が高まり、ユーロは軟調ながら実現後は底堅いと見込まれます。
低インフレ、緩やかな雇用増加変わらず
Eurostat(EU統計局)が7月31日に発表した7月のHICP(統合消費者物価指数)速報は、総合が前年同月比+1.1%(前月比-0.2)、コアが同+0.9%(同-0.2)でした。サービス(6月➝7月:+1.6%➝+1.2%)、エネルギー(同+1.7%➝+0.6%)が影響しました。7月25日のECB(欧州中央銀行)理事会で、インフレ率の目標を+2%弱から+2%前後へと若干変化させ、緩和の姿勢を強めたことから、低位なインフレ率(特にコア)が続いていることを受け、市場では次回理事会(9月12日)で具体的な追加緩和を実施するとの見方が強まっています。
また、同日に発表された6月の失業率は7.5%と金融危機後の最低水準となりました(5月は7.5%から7.6%へ上方修正)。主要国では0.1ポイントと小幅な動きながら上昇(フランス)、低下(イタリア、スペイン)、そして横ばい(ドイツ)とバラつきが見られました。失業者数は前月比-4.5万人と8ヵ月連続減少ながら、最小の幅となりました。このところ減少ペースは若干鈍化していますが、減速しながらも緩やかな経済成長が続く中、雇用環境は依然として改善しています。
景気先行き期待の改善でユーロは持ち直しも
ユーロ相場は、金融緩和期待でユーロ安が進行し、2年2ヵ月ぶりに1ユーロ1.11ドルを割り込んできました。どのような緩和手段を講じるかは不透明であり、警戒感からユーロ買いが入りにくい情勢です。
ユーロは秋以降、金融緩和策が実施されれば、次第に景気先行き期待が高まり、当初はユーロ安ながら、その後数ヵ月間では持ち直しに転じる局面も出てくるのと思われます。緩和後、低インフレは中長期的には改善傾向となり、雇用は緩やかな増加が続くと見込まれます。
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