FOMC後の初期反応
米国のFOMC(連邦公開市場委員会)をはじめ、独立の是非を問うスコットランドの住民投票やアリババ・グループのIPO、新型iPhoneの発売と、今週は海外を中心にイベントが多く予定されていますが、まずは最大の注目だったFOMCが終了しました。
FOMC後の米国市場はドル高と株高で反応し、為替はドル円で108円台に乗せ、NYダウは最高値を更新しました。一方で債券は売られ、米10年債利回りは2.6%台まで上昇しました。この流れを受けた18日の日経平均も1月9日以来の16,000円台を回復してのスタートとなりました。こうしたマーケットの初期反応をもたらしたFOMCについて、実際に何が起こったのかをざっくりと整理してみたいと思います。
FOMCそのものでは、政策金利の据え置き、量的緩和にあたる資産購入について月間あたり150億ドルの減少が決定され、こちらについては事前の想定通りでした。このまま行けば10月にも資産購入が終了し、緩和の拡大がストップすることになりますが、こちらも想定済みと思われ、相場の材料としては中立だったと言えます。
次に、声明文から「相当な期間」という文言が削除されるかどうかが注目されていました。前日の米国株市場ではこの文言が残される見通しという報道があり、株価が上昇していましたが、結局削除されずに維持されました。また、景気認識についても、「著しい労働力の未活用」という文言が残され、イエレンFRB議長がこだわる「労働の質」を見極める姿勢に変化は無く、これまで通り「ハト派」の内容だったと言えます。
さらに、FOMC後のイエレン議長の記者会見もほぼ従来通りのスタンスで、声明文に「相当な期間」を残したことについても、あまり大きな意味はなく、利上げ時期の判断は今後の経済指標の動向次第という、これまでの認識を示すに留まりました。
こうしたハト派スタンスの一方で、FOMC後に発表されたメンバーによる政策金利の見通し(中央値)が前回に比べて上昇しました。FOMCでは3月・6月・9月・12月のタイミングで開催される会合ごとに、各メンバーの景気と政策金利の見通しを公表していますが、今回発表された政策金利の見通しは、2015年末での中央値で1.375%(前回は1.125%)、2016年末で2.875%(同2.50%)と前回より引き上げられたほか、今回から追加された2017年末の見通しは3.75%となりました。
つまり、声明文やイエレン議長会見の内容がハト派スタンスの一方で、政策金利の見通しについてはFOMCのメンバーがきっちりと利上げを想定している「タカ派」的なスタンスが窺えることになります。
そのため、FOMCを受けた米国市場の初期反応を振り返ると、株式市場がハト派的な部分に、為替市場と債券市場はタカ派的な部分にそれぞれ都合よく反応したと考えられそうです。株式市場ではNYダウが最高値を更新しましたが、前日比では約24ドル高と上げ幅は限定的でした。債券市場が今後もタカ派スタンスを織り込んでいくと金利の上昇が続き、ローン金利などを通じて米景気への影響も懸念される可能性もあるため、初期反応後のマーケットがFOMCをどう再消化していくかが注目されます。
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