トヨコー(341A)橋梁等の老朽インフラの予防保全市場向けに成長が期待できる
独自開発のレーザークリーニング技術に強み
橋梁等の老朽インフラの予防保全市場向けに成長が期待できる
業種:建設業
アナリスト:百谷淳一
◆ 安定収益源のSOSEI事業に、成長が見込まれる新規事業が加わる
トヨコー(以下、同社)は、老朽化した橋梁や鉄塔等の社会インフラのサビや塗膜等をレーザーで除去する加工装置「CoolLaser(クーレーザー)」で注目されている企業である。
同社は、08年に屋外での使用を目的としたレーザークリーニング工法の開発に着手し、実証試験を経て23年2月にCoolLaser初の市販モデル「G19-6000(以下、G19)」を発売した。CoolLaser事業には毎年多額の研究開発費が投じられ、業績の足を引っ張ってきたが、25/3期から利益への寄与が始まった。
現在、同社の主力事業は、老朽化した工場等のスレート屋根に瞬間硬化する特殊な樹脂を吹き付けて補強・修繕するSOSEI(ソセイ)事業である。SOSEI事業は、安定収益源として期待され、今後はCoolLaser事業が成長事業として加わることになる(図表1)。
(1)CoolLaser事業
CoolLaserは、従来工場内部での切断工程や溶接工程に使われていた高出力レーザーをクリーニング用途に応用し、橋梁や鉄塔等の分厚いサビや塗膜除去を行う世界的にも類を見ない技術である。
屋外で高出力レーザーを使用する事例が一般的でなかった08年に基礎研究を開始、18年に前田建設工業(5076東証プライム、インフロニア・ホールディングスのグループ企業)、第一カッター興業(1716東証スタンダード)、デジタル・インフォメーション・テクノロジー(3916東証プライム)の事業会社3社との資本業務提携を行って以来、開発を加速させた。19年には同社主導で一般社団法人レーザー施工研究会を立ち上げ、安全ガイドラインの制定、経済産業省とのJIS規格制定、国土交通省の土木研究機関である国立研究開発法人土木研究所との共同研究など、国と二人三脚で社会実装に向けたルール整備を行うなどCoolLaser 事業の発展に向けた準備を行ってきた。レーザー施工研究会は、独立行政法人労働安全衛生研究所の研究員や各大学教授、及びレーザーメーカーや大手ゼネコンなど104社(24年12月末時点)で構成されている。
あらゆる構造物はサビによる腐食が生じる。屋外構造物のメンテナンスニーズは幅広く、同社は、①橋梁分野(道路・鉄道)、②鉄塔分野(通信・送電)、③海事(海運・ドック)、④その他(プラント・保管)の4つの重点分野をターゲットに事業を展開している。
同社が主力市場と位置付ける橋梁塗替工事(サビや旧塗膜を除去し、新塗膜による鋼材の腐食を防ぐ工事)は3K労働(キツい、汚い、危険)である。中でも「危険」の部分では、塗替工事で用いられる剥離剤による中毒事故注1や火災事故、ウォータージェット工法注2では手足切断事故等が発生している。また、主に素地調整注3に用いられるブラスト工法注4で使用される研削材は多量の廃棄物となり、環境への負荷も大きい。
更に、ブラスト工法では、鋼材の腐食因子である塩分を研削材で鋼材の奥に押し込んでしまい、塩分が残ったまま新塗膜が塗られることでサビが再発する再劣化の問題もはらんでいる。
以上のような問題に対し、CoolLaserは、下記のような強みを持ち、次世代のインフラメンテナンス工法として貢献できると期待されている。
1) 産業廃棄物を大幅に削減できる。レーザー光と集塵機を組み合わせることで、ブラスト工法の研削材、ウォータージェットの汚水、剥離剤の廃液等の二次産業廃棄物が発生しない。
2) サビや塩分の高品質な除去が可能で、塗替工事の頻度を低減させ、ライフサイクルコストを削減できる。
3) ブラスト工法やウォータージェット工法のような「反力」がないため、作業負荷が軽くなる他、生じる粉塵も自社開発した集塵機で吸引することで作業環境がクリーンに保たれる。
4) 「反力」がないため制御しやすく、省人化・効率化に向けたロボット化が容易になる。同社では「レーザー光の円形照射による鋼材への熱影響回避技術注5」を保有し、優位性を持っている。
CoolLaser事業では、装置・消耗品売上が収益の柱となる。G19の価格は1億円程度となる。CoolLaserを用いて橋梁等のメンテナンス工事の受注を狙う建機レンタル会社や工事会社、及び自社のインフラをメンテナンスしたいインフラオーナー等のユーザー主な顧客となる。また、CoolLaserを用いた工事では、レーザーヘッド先端部内の光学系を守る保護レンズや集塵機のフィルター等の消耗品売上が発生する。
装置売上以外では、保守売上、施工売上がある。保守売上については装置所有者と保守契約を締結し、役務の提供を行う。施工売上については、主に装置の研究開発や市場分野開発を目的とした試験施工を中心とし、依頼内容によっては本施工を行っている。
CoolLaser事業の売上高は24/3期まではCoolLaser装置開発に関連した塗膜剥離工事売上高が僅かに計上される状況だった。24/3期の売上高も36百万円に留まったが、25/3期第2四半期に1台、第3四半期に2台のG19が売上計上され、第3四半期累計では同事業の売上高は316百万円へと急増した。このうち、G19の装置売上が297百万円と94.0%を占めた。セグメント利益も24/3期は325百万円の損失だったが、25/3期第3四半期累計では52百万円の損失に縮小、G19を2台売り上げた第3四半期だけでは売上高210百万円、セグメント利益21百万円となった。
(2)SOSEI事業
SOSEI事業は、老朽化した工場等のスレート屋根に瞬間硬化する特殊な樹脂を吹き付けて補強・修繕する事業である。
06年に同社が独自に開発したSOSEI工法は、第1層には断熱効果のある特殊ポリウレタンフォーム、第2層には防水及び補強効果のある特殊ポリウレタン樹脂、第3層には耐候性のある2液ウレタン系溶剤を順に吹き付ける工法である(図表2)。
SOSEI工法では、スレート屋根の葺き替え工事と異なり、工場の稼働を止めることなく施工でき、更に断熱効果が向上することによる空調効率改善による電気代節減で工場のランニングコスト削減にも繋がる。
SOSEI事業は、発注者である施工対象の工場や建物の所有者(メーカーや流通業者等)から、同社が元請け、あるいは他の建設会社などが元請として、協力施工会社に吹き付け作業を外注している。同社の施工管理者1名を現場に常駐させる「責任施工」により、作業品質の向上や安全対策の徹底を実現している。この責任施工が発注者から評価され、継続的な取引に繋がっている。
SOSEI事業の売上高については、24/3期までの5期間の年平均成長率は10.9%と、着実に売上を拡大させてきた。セグメント利益率は24/3期が26.5%、25/3期第3四半期累計で36.5%と高い利益率となっている。25/3期に入り利益率が大きく上昇したのは、工事単価引き上げ及び採算の良い大型案件が増加したことが要因である。

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