日銀の「展望レポート」
今週の国内株市場は、日並びがあまり良くないながらも一応連休入りということもあり、引き続き薄商いが続いています。そんな中、30日に日銀の金融政策決定会合が開かれました。会合そのものは金融政策の現状維持が決定され、想定通りの結果となりました。
前回の当コラムでも触れましたが、過去2回の日銀会合のタイミングでは、追加金融緩和の思惑で会合前に株価が上昇し、会合後に下落するという展開が続いていましたが、今回については会合前に追加緩和への思惑が盛り上がらなかったこともあり、翌5月1日の前場終了時点において、日銀の会合の影響は限定的に留まっていると言えます。前回の会合後の会見で黒田総裁が、慌てて追加緩和を実施する必要がないスタンスを強調したことも影響しているようです(今回の会合後の会見ではややスタンスを軟化させた印象ではあります)。
とはいえ、追加金融緩和の期待と思惑は今後も折に触れて浮上していくと思われます。その判断材料のひとつとなるのが、会合と同日に公表された「展望レポート」で、日銀が物価と経済の見通しについて見解を示したものです。その要点はざっくり以下のようになります。
■物価の見通しについて
・物価上昇率はしばらく低調するも、その後は再び上昇基調となる。
・2015年度の半ば頃には、目標としている2%に到達し、以降もその傾向が続く。
■経済の見通しについて
・2回の消費税率引き上げの影響がありつつも、潜在成長率を上回る成長を続ける。
・2014年度の成長率見通しを+1.4%から+1.1%に下方修正、2015年度については+1.5%を維持。
以上のように、日銀の展望通りとなれば、自ずと目標としている2%を達成できることになるため、追加の金融緩和は必要ないというシナリオとなります。ただ、市場では日銀ほど物価上昇の見通しに対して強気という見方は多くなく、いずれ日銀はシナリオを修正するだろうというのが、追加緩和期待を燻らせているわけです。
また、経済見通しについても少し無理な印象があるほか、2回目の消費増税ありきが前提となっている点など、個人的にも日銀のシナリオ通りに行くのは難しいと考えています。だからといって、安易に追加金融緩和を行えば、景気刺激というメリットよりも、コストプッシュ型の物価上昇を後押しするデメリットの方が大きくなり、可処分所得の減少による需要低下、経済減速という経路でデフレに逆戻りというシナリオも浮上する可能性があります。もっとも、レポート内でも、「政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進によって、成長期待が緩やかに高まっていくと想定している」という記述があり、やはり「第3の矢」が今後のカギを握ってくることになりそうです。
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