リスクオン相場の土台
今週に入ってからの日経平均は、上値の重たさが感じられつつも、再び5月22日の終値ベースの年初来高値(15,627円)突破を試す展開となっています。米NYダウも小幅ではありますが、連日で史上最高値を更新しているなど、「リスクオン」の相場地合いが続いています。
この「リスクオン」の土台にあるのは、景気回復基調をはじめ、企業業績の底上げ、金融緩和の動きが世界的に同時進行で出てきたことです。米、日、欧、中などから発表される経済指標は、ずば抜けて強いものはないのですが、全体的に回復基調で下値不安が後退していることが大きく、そこに、FRBの金融緩和策の継続や、ECBの利下げやマイナス金利観測、日銀に対しても追加緩和への思惑があるなどの過剰流動性相場が乗っかっているイメージです。また、独の大連立政権の樹立が合意されたことや、対イラン制裁緩和見通しなどもリスクオンを強めた格好です。
また、為替市場に対する評価軸も変化しています。いわゆる「イエレン発言」前までのドル円相場は、米量的金融緩和縮小の動向が主な材料となっていました。縮小観測が強まれば、米国の金融引き締めから日米金利差の拡大で、ドル買い円売りとなり、逆に緩和継続観測が強まれば、ドル売り円買いとなっていましたが、足元では、緩和継続観測が強まりながらも円安が進行しています。一部で「円キャリートレードの復活」という声も出ているように、こちらもリスクオンによる影響と考えられ、株高と円安の構図となっています。
個人的には、年末までのコアレンジを14,500円~15,500円ぐらいが妥当と見ていますが、前回のコラムでも触れた通り、次回のメジャーSQ(12月13日)までは、リスクオンムードが継続する限り、デリバティブに絡んだ需給要因によって、一時的に16,000円台乗せの展開も有り得ると思われます。
基本的には、先程も整理したように、土台となっている景況感や金融緩和観測の変化には注意を払う必要があります。中心となるのは米国で、まずは明日(金曜日)から始まるクリスマス商戦の動向や、来月あたまの雇用統計、FOMCなどが注目ポイントとなります。来年明けには米財政問題が再燃する可能性が高く、金融緩和は続く見通しです。国内でも金融緩和への思惑が働きやすく、日銀短観(12月16日)や日銀金融政策決定会合(12月19日~20日)などが注目されます。
そのほか、中国が日本の尖閣諸島上空を含む東シナ海を「防空識別圏」に指定した問題など、地政学的リスクの浮上も注意されるところではありますが、かつて、日本が尖閣諸島を国有化した時と異なり、関係諸国が冷静な対応を取り続けている限りは、中国側を刺激して反日デモが活発化して、中国でビジネスを展開する日本企業の業績悪化につながるというシナリオの可能性は低いとみて良いと言えます。
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