春節を迎える中国情勢を振り返る

2013/02/08

中国では2月10日に農暦(陰暦)の正月である「春節」を迎えます。国を挙げての大型連休の時期でもあり、中国の株式市場も上海市場では一週間(2月11日~15日)、香港市場や中華圏のシンガポールでも2営業日(2月11日~12日)の間、休場となります。

連休前の中国株市場の動きを振り返ると、上海総合指数は2月に入り、昨年5月以来となる節目の2,400ポイント台を回復しました。同株価指数の上昇は12月の上旬から始まりましたが、当時は1,970ポイント台でしたから、約2カ月間で20%以上上昇したことになり、同時期に急騰していた日本株市場と同じようなピッチを辿っています。ひとまずは、2010年11月から続いた下落トレンドが底打ちした印象です。

経済指標をみても、中国経済の回復基調が窺えます。最近発表された1月の製造業PMI(HSBC版)は52.3と、4カ月連続で景況判断の分かれ目となる50を超え、約2年ぶりの高水準となったほか、先月発表された2012年第4四半期GDPの伸び率(前年同期比)が7.9%となり、7四半期続いた減速傾向がようやく止まりました。また、鉱工業生産や小売売上高など、他の12月分の指標も予想を上回る改善を示しています。昨年の夏頃に実施した金融緩和や、インフラ投資の前倒し認可・実行などの政策効果が表れはじめたと言えます。

今後(2013年1月以降)もこの傾向が続くかが注目されますが、例年、中国の国家統計局が発表する経済指標は、物価指標など一部を除き、1月分と2月分をまとめたものを3月に発表するスケジュールとなっています。その理由は冒頭で触れた春節が関係しています。大型連休によって、生産を中心とした経済活動が一時的に休止しますが、春節の日程は1月~2月のあいだで毎年変わるため、1月と2月で指標のズレが生じやすくなるためです。なお、注目度の高いとされる、鉱工業生産や固定資産投資、小売売上高などの1~2月分の指標は3月9日の発表予定になっています。

とはいえ、中国経済の回復ペースと同様に注意が必要なのは、その経済構造です。例えば、小売売上高が毎月順調に増加しているにも関わらず、GDPへの寄与度が低下傾向にあります。これは消費の伸び以上に投資主体によって回復が支えられていることを意味します。中国はこれまでの「外需主導・投資主導」による急成長から「内需主導・消費主導」の安定成長への方向転換を目指していますが、経済構造の面だけでみれば、今のところ目立った変化は見られません。ただ、11月にスタートした中国の新指導部も、所得や産業、財政などの不均衡を解消するなどの改革を通じて、経済構造のバランス改善と安定的な成長を志向しており、こうした現状の課題を乗り越えようとしています。

また、春節後の大きなイベントとして、全人代(全国人民代表大会)が3月5日から開幕します。全人代とは、毎年3月頃に開催され、日本の「国会」に近いイメージです(厳密には異なりますが)。新指導部メンバーも、この全人代で国家主席や国務院総理などの役職が正式に指名されることになるほか、予算の承認なども行われます。

昨年の全人代では、開幕時に2012年のGDP成長率の目標値を、8%から7.5%に引き下げたほか、閉幕時にも、当時の首相だった温家宝氏が不動産抑制策の維持を示したことで、上海総合指数が大幅な下落を見せました。今回の全人代でどのような経済政策方針が示されるかにも注目が集まりそうです。

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