(6575:東証マザーズ) ヒューマン・アソシエイツHD 他社にない強みを事業拡大へ
今回のポイント |
・19/3期3Q(累計)は前年同期比3.5%の減収、同24.4%の営業減益。メンタルヘルスケア事業の売上が同1.9%増加したものの、好調だった前4Q(1-3月)の反動による1Q(4-6月)の売上減少が響き、人材紹介事業の売上が同7.9%減少。売上が減少する中、上場に伴うガバナンス強化による全社費用の増加や人材紹介事業における積極的な採用活動等の先行投資が負担になった。連結子会社Optia Partners(株)ののれん減損損失を特別損失に計上した事等で四半期純利益は同95.3%減少した。・通期予想は前期比1.4%の減収、同26.4%の営業減益。人材紹介事業、メンタルヘルスケア事業共に売上が期初予想を下回る見込み。人材紹介事業はコンサルタントの採用遅延等の影響で下期の売上が想定したほど伸びず、メンタルヘルスケア事業は、前年並みの受注は獲得しているものの、新規顧客獲得の苦戦が響く。営業・経常利益については売上下振れの影響を受けるものの、当期純利益については、本社移転に伴う受取補償金を特別利益に計上するため同23.4%増加する。
・人材紹介事業は景気にリンクする事業だったが、労働人口の減少を背景に企業の人材ニーズは質・量の両面から堅調で、景気との相関性が低下していると言う。また、採用した社員がリテイン(retain)して、更に能力を発揮する事、言い換えると、エンゲージメントも重みを増している。メンタルヘルスケア事業はエンゲージメント強化のためのサービスであり、新規事業として取り組むアセスメントとコーチングも広義のエンゲージメントである。人材紹介を手掛ける企業やエンゲージメントを手掛ける企業は多いが、現状、両事業を手掛ける企業は同社のみ。この強みを事業拡大につなげていく事ができるかどうか、が今後のポイントになる。 |
会社概要 |
持株会社である同社の下、エグゼクティブやグローバル人材の紹介を行う人材紹介事業と組織人材向けのカウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービスを行うメンタルヘルスケア事業を手掛けている。グループは、持株会社であるヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)の他、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、外資系企業を中心にグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)、及び組織人材のメンタルヘルスケアを行うヒューマン・フロンティア(株)、の100%子会社4社。尚、大和PIパートナーズ(株)が発行済株式数の36.5%を保有する筆頭株主であり、取締役1名の派遣を受けている。
【経営理念】 【沿革】 2011年9月、グローバルサーチファームのAIMS Internationalと提携し、AIMSインターナショナルジャパン(株)を設立。2013年には5月にサーチ型医師紹介会社HAメディカル(株)を設立し、同年6月には持株会社HAグループ(株)がヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(株)に商号を変更。2014年12月に大和PIパートナーズ(株)が安藤秀人氏から株式を取得した。 2015年5月にHAメディカル(株)がヒューマン・アソシエイツ(株)を吸収合併し、ヒューマン・アソシエイツ(株)に商号を変更。2016年4月に(株)A・ヒューマンがヒューマン・アソシエイツ(株)を吸収合併。2016年11月には人材紹介会社Optia Partners(株)の全株式を取得。2018年4月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場した。 【事業概要】 ミドルマネジメント以上の人材紹介に特化し、事業会社3社が求人企業及び求職者のニーズに沿ったサービスを提供しつつ、シナジーを追及している。3社とは、会社経営層や高度スペシャリストのエグゼクティブサーチを行うAIMSインターナショナルジャパン(株)、ミドルマネジメントのキャリア開発を手助けする登録型人材紹介会社(株)A・ヒューマン、及びグローバル人材を紹介するOptia Partners(株)である。 尚、AIMSインターナショナルジャパン(株)のターゲットの年収は11.9百万円(過去3年平均)、Optia Partners(株)は11.1百万円(過去2年平均)、(株)A・ヒューマンのターゲットの年収は7.3百万円(過去3年平均)。 同社グループの強み 市場動向 事業会社ヒューマン・フロンティア(株)が、カウンセリング、ストレスチェック及びその後のフォローアップサービス、及び各種研修等のメンタルヘルスケアサービスをワンストップで提供している。 ストレスチェックについては、2015年12月の改正労働安全衛生法の施行に伴い、従業員50名以上の事業所で実施が義務化され需要が拡大した。厚生省モデルの質問を使い、従業員の回答を集計し、問題点等を整理・分析して企業に提出する。また、ストレスチェックを通して、組織上の問題が浮き彫りになれば、組織コンサルテーションにより様々なコンサル提案により問題の解決を支援する。 同社グループの強み 「現場型」出張カウンセリングは、連結子会社ヒューマン・フロンティア(株)が擁する全国の専属カウンセラーが可能にしている。「専属カウンセラーは、理論だけでなく、実際に組織で働く社員の気持ちを理解できる人材でなければならない」、という考えから、臨床心理士や産業カウンセラー等の資格保有に加え、企業での勤務経験も採用条件となっている。専属カウンセラーは原則として月1回、東京での集合研修の受講が義務付けられており、常に高い水準の知識が維持されている。同社グループでは、全国津々浦々、Face To Faceで、専属カウンセラーが現場でカウンセリングを行っているが、専属カウンセラーを持つ同業者は少なく(外部委託が多い)、しかも、電話でカウンセリングするケースが多いと言う。 加えて、同社においては、カウンセラーだけでなく、従業員スタッフも高い専門知識を有する。このため、ストレスチェック後の職場改善提案や研修等のフォローアップサービスが充実している事に加え、災害・事故時におけるCISM(惨事ストレスマネジメント)にも対応できる。これは、同社が定期的に実施している組織内研修の成果であり、この結果、年間EAP契約(1年契約)の継続率は95%と高い水準を維持している。 市場動向 |
2019年3月期上期決算 |
前年同期比3.5%の減収、同24.4%の営業減益
売上高は前年同期比3.5%減の14億28百万円。メンタルヘルスケア事業の売上が同1.9%増加したものの、好調だった前期第4四半期(1-3月)の反動による第1四半期(4-6月)の売上減少が響き(第2四半期以降、回復傾向)、人材紹介事業の売上が同7.9%減少した。 利益面では、売上の減少に伴い売上総利益が減少する中、上場に伴うガバナンス強化による全社費用の増加や人材紹介事業における積極的な採用活動(コンサルタントが前期末との比較で9名純増)等の先行投資が負担になり、営業利益が1億57百万円と同24.4%減少。業績が低迷する連結子会社Optia Partners(株)の、のれんの減損損失66百万円を特別損失に計上すると共に、これに伴う繰延税金資産の取崩しによる法人税等(15百万円) を計上したため、四半期純利益は6百万円と同95.3%減少した。 尚、当社は2016年11月にOptia Partners(株)の全株式を取得し連結子会社化したが、当期業績の低迷を踏まえて投資時点に想定していた計画を修正した。Optia Partners(株)は、前期に退職したコンサルタントの減少部分を前期中に採用で補えず、当期初に積極的に採用を行ったものの、当期中の本格稼働には至らず、当期の売上が減少した。 人材紹介事業 メンタルヘルスケア事業 第3四半期末の総資産は前期末との比較で1億80百万円増の12億44百万円。4月10日の東証マザーズ上場に伴う資金調達と自己株の処分で2億円程度の資金を調達した事等で、現預金と純資産が増加した。自己資本比率69.8%(前期末63.6%)。 |
2019年3月期業績予想 |
通期予想は前期比1.4%の減収、同26.4%の営業減益
売上高は前期比1.4%減の19億21百万円。人材紹介事業、メンタルヘルスケア事業共に期初予想を下回る見込み。人材紹介事業はコンサルタントの採用遅延等の影響で下期の売上が想定したほど伸びず、メンタルヘルスケア事業は、前年並みの受注を獲得しているものの、新規顧客獲得の苦戦が響く。営業利益及び経常利益については売上下振れの影響を受けるものの、本社移転に伴う特別利益(受取補償金)を計上するため当期純利益は2億17百万円と同23.4%の増加が見込まれ、初予想を上回る見込み。 特別利益及び特別損失の計上 2年連続の増配 人材紹介事業 メンタルヘルスケア事業 |
成長戦略 |
人材紹介事業
「コンサルタントの積極的採用・人材育成」、「地域拡大」、及び「求職者の一層の獲得のためのHP等自社チャネルのシステム改善」に取り組んでいる。「コンサルタントの積極的採用・人材育成」では、19/3期は13名の増員を計画しており、「地域拡大」では大阪支店を開設する。既にビジネスとしては全国展開しているが、現在の拠点は、田町(東京都品川区)と赤坂(東京都港区)の都内2拠点のみ。年内の大阪支店開設を予定している。「求職者の一層の獲得のためのHP等自社チャネルのシステム改善」では、高い有効求人倍率が示すように求職者不足が深刻化している事から、登録型人材紹介を手掛ける(株)A・ヒューマンの求職者確保と求職者の利便性向上に向け、Webサイト等、自社チャネルにおける情報の質の向上と量の拡大に取り組む。 メンタルヘルスケア事業 尚、19/3期は4名の増員を図り期末従業者数は34名を予定しているが、今後の事業拡大については、自社での対応に捉われず、M&Aにも柔軟に対応していく。メンタルヘルスケアサービスに対する顧客ニーズは多様化・総合化が進んでいるが、ニーズに応える事が難しい中小の同業者は多い。こうした同業をM&Aでグループに取り込んでいきたい考え。 グループ全体 ビジネスコーチ株式会社と業務提携 (2)中長期成長戦略 |
社長インタビュー - 渡部社長に聞く - |
渡部社長は1979年3月に東京大学経済学部を卒業し、日本長期信用銀行に入行。支店業務、国際金融、本店営業等、企業金融にかかわる業務全般で経験を積まれた後、人事部門に勤務。2000年以降は、日本興業銀行を経て、セブン-イレブン・ジャパンで人事部門を、楽天証券では人事にとどまらない管理部門全体を、それぞれ管掌。2007年9月にヒューマン・アソシエイツ(株)の代表取締役社長に就任された。【市場動向と強み】
人材紹介事業 御社の資料を拝見すると、人材紹介市場は2018年度予想で2,690億円。今後、年率7~8%の成長が見込まれています。 渡部社長 :人材の流動化が進みますから、ポテンシャルとしては、グロスで、その程度の成長力があるのではないでしょうか。ただ、我々が注力している経営階層の人材紹介は、より高い伸びが期待できると考えています。「グロスで」と付け加えたのは、そのためです。投資ファンドが事業会社等を買収した際、経営者を交代させる事はよくある事ですし、事業会社も、企業買収や新たな事業展開に伴い、人材を外部に求めるケースが少なくありません。 経営階層の人材紹介は市場の成長を上回る伸びが期待できるとの事ですが、ピラミッドの頂点に位置するような方が対象になるのですから難易度も高いのでしょうね。どのようにして、紹介する人材をスカウトするのでしょうか。 渡部社長 :人材紹介サービスには、登録型とサーチ型があり、当社は両方に対応しています。登録型は、転職を希望される方にWebサイト等で登録していただき、コンサルタントが転職を斡旋します。当社グループでは、A・ヒューマンが登録型サービスを提供しています。紹介させていただく人材は、求人広告の外部サイトに登録されている方とA・ヒューマンの自社サイトに登録されている方になります。 サーチ型は、“エグゼクティブサーチ”や“ヘッドハント”等とも言われ、社長や部長以上の経営階層や上級専門職層といった求人依頼に対応します。当社グループでは、AIMSとバイリンガル・グローバル人材のOptiaがサーチ型のサービスを提供しています。コンサルタントが独自のネットワークを使ったり、様々なルートからコンタクトをとったりして、企業の要望にあった人材をスカウトします。求人のニーズは、ダイレクトメールや電話でのご案内を通して能動的に掘り起こしていく事が基本ですが、最近では、Webサイトや電話での問い合わせが増えています。幹部人材が不足する中で、当社の人材サーチ力とマッチングの実績が評価されてきているのだと思います。 求人ニーズについては、一度実績を作ると、リピートと言うのでしょうか、更なる取引につながるのでしょうね。 渡部社長 :おっしゃる通りです。しっかりと実績を残す事が営業基盤の強化・充実につながります。それができているのだと思います。 エグゼクティブサーチのAIMSやミドルマネジメント層を対象とするA・ヒューマンは、様々な業界で勤務経験のある方をコンサルタントとして採用しているそうですね。人材紹介事業は総じてコンサルタント個々の営業力に頼るところが大きいのでしょうか。 渡部社長 :会社の力とコンサルタント個々の力の両方の要因があるのでしょうが、やはり会社の力、信用力が大きいと思います。スカウトされた方は、先ず当社について調べます。自分をスカウトした会社が信用に足る会社かどうかです。当社であれば、20年来の実績がありますし、この4月には上場もさせていただきましたから、安心していただけると思います。会社をご評価いただいた後は、コンサルタント個々の力が要求されます。当社に限らず、営業はどの会社もそうなのでしょうが、水際でお客様とコンタクトをとる社員の力が強くなければなりません。このため、実務経験とコンサルタントとしての適性を有する方の確保に力を入れています。実務経験に基づく専門性のあるコンサルタントによるサービスで同業他社との差別化を図っています。 前期末時点のコンサルタントの出身業界別の内訳は、人材ビジネス27%、金融20%、機械製造16%、消費流通13%、IT7%、サービス4%、メディカル4%、石油4%、ファッション4%、と多種多様です。当社は、同業他社と比較し、コンサルタントの職務経験を重視しています。コンサルタントの専門性を重視している、と言い換えてもいいかも知れません。単なる“紹介”ではなく、企業と候補者の双方と接して、業種や産業について議論をしながらマッチングさせていきますから、専門性が必要になります。 専門性を重視した採用活動とコンサルティングにより差別化を図っている訳ですね。そして、その戦略が奏功してますね。ところで、よく競合する企業、あるいは特に意識している企業等はあるのでしょうか。 渡部社長 :同業者は沢山あります。AIMSはリテーナーハウスといって、リテーナー契約(注:個別・専属契約による固定報酬型契約)の下、難易度の高い求人依頼に応えています。この分野は外資系ビッグ5と言われる、スペンサースチュアート、ラッセル・レイノルズ、エゴンゼンダー、コーン・フェリー・インターナショナル、ハイドリック・アンド・ストラグルズが強く、国内企業も5~10社あります。リクルート(証券コード6098)さん、ジェイエイシーリクルートメント(同2124)さん、その他、派遣等を中心とする人材サービス会社が直接またはグループ企業を通して間接的に手掛けています。ただ、人材不足の時代ですから、競合を意識する事はありません。人材紹介事業は「人材を探す事ができれば、OK」というところがありますから。むしろ、そこの方が問題ですね。社員が全て外国人でバイリンガル・グローバル人材にフォーカスしているOptiaも、同じような業態の会社が5~10社くらいあります。やはり、競合企業を意識するというよりは、候補者をご紹介できるかどうか、が問題です。ただ、候補者の取り合いになっていますから、その面で競合と言えば競合ですね。 メンタルヘルスケア事業 渡部社長 :世の中の需要としては、その程度の成長率で伸びていくだろうと考えています。市場化される面では、ですね。メンタルヘルスケアでは、大企業では内製化するケースもありますから、我々が売上を上げる規模としては、それでいいのかわからない面があります。ただ、ポテンシャルとしては、その程度の成長力がある、と考えていいのではないでしょうか。当社としては、より高い成長を目指しています。 労働安全衛生法の改正がストレスチェックの追い風になっているようですね。改めて事業の特徴を説明して頂けますでしょうか。 渡部社長 :メンタルヘルスケア事業では、現場型出張カウンセリング、ストレスチェック・組織分析、休業者・復職者支援プログラム、研修、CISM(注:Critical Incident Stress Management、特別サポート)、組織コンサルテーションと言ったメンタルヘルスケアに必要なサービスをワンストップで提供している事と全国約80名の専属カウンセラーによる「現場型」カウンセリングを特徴としています。 ご存知のように、2015年12月1日施行の改正労働安全衛生法で、2016年11月末を期限に労働者数50人以上の事業所に対してストレスチェックが義務化されたため、市場が活性化され当社の受注も拡大しました。ストレスチェックは毎年11月末を期限に企業側が実施を検討するため、その影響で、当社は第2四半期・第3四半期の売上が第1四半期・第4四半期よりも大きくなる傾向があります。 カウンセラーの方はどのような方なのでしょうか。 渡部社長 :当社のカウンセラーの採用条件は、産業カウンセラーや臨床心理士の有資格者で、かつ、企業勤務の経験がある事。 単に業務委託契約を結び任せているのではなく、御社が主体的に品質の維持・向上に努めているのですね。日本全国の現場に出張してカウンセリングを行っている「現場型」カウンセリングが特徴との事ですが、「現場型」カウンセリングは珍しい事なのでしょうか。 渡部社長 :同業他社の場合、全国対応はしていたとしても、首都圏以外は外部に委託している、といったケースが多いように思います。また、人材紹介を手掛ける会社は数多いですが、同じヒューマンリソース関連のサービスであるメンタルヘルスケアを手掛けている人材紹介会社は当社以外になく、当社のユニークなところです。当社は優良企業を中心に付加価値の高いエグゼクティブ層向けのサービスを提供しているという人材紹介会社としての強みに加え、他の人材紹介会社にない独自性を有している訳です。 【成長戦略】 渡部社長 :人材紹介事業はコンサルタントを増員し、専門性を強みに市場の成長を上回る成長を目指します。メンタルヘルスケア事業では、EAPカウンセリングとストレスチェックによる成長に加え、M&Aにも対応していきます。また、新規事業として、アセスメント事業とコーチング事業の育成にも取り組みます。組織としてオーガニックに伸ばしていく事を基本とし、メンタルヘルスケア事業でのM&Aと新規事業により成長を加速させていきたいと考えています。社内に有するリソースとマーケットの拡大余地を考えると、最も高い成長が期待できる事業がメンタルヘルスケア事業ではないでしょうか。 なるほど。人材紹介事業は子会社3社がターゲットを定めて事業展開していますが、成長をけん引するのは、どの子会社でしょうか。 渡部社長 :量的にはボリュームゾーンであるA・ヒューマンが最も伸びると思いますが、政策的には、メンタルヘルスケア事業や新規事業とのシナジーが期待でき、エッジが利いて企業に食い込んでいく事ができるAIMSを伸ばしていきたいと考えています。量としてはA・ヒューマン、率としてはAIMSといったイメージでしょうか。 A・ヒューマンをけん引役としつつも、経営階層と深いつながりをつくる事ができるAIMSがキーになる訳ですね。メンタルヘルスケア事業は、どのような成長イメージでしょうか。 渡部社長 :基本的には、これまでと同様にオーガニックに伸ばしていきたいと考えています。そのためにEAPをコアに、横展開を進めます。メンタルヘルスケアに対する意識の高まりや環境の変化に加え、労災認定件数の増加等もあり、EAPカウンセリングは引き続き堅調な推移が期待できます。また、ストレスチェックにより、新しいお客様が増えましたから、単にストレスチェックのスコアを出すだけでなく、そこから出てきた問題点や抽出された課題についてのコンサルサービスを提供していきたいと考えています。 ストレスチェックは、第1フェイズの導入が進み、これからこの結果を活用する第2フェイズに移行していくという事ですね。強いニーズを感じているようですね。 渡部社長 :おっしゃる通りですし、こちらからも提案させていただきます。ストレスチェックを導入されたお客様は、とりあえず法律をクリアするために導入されました。今後、継続していく事になりますが、どう活かしていくか、が課題になってきます。ストレスチェックの結果を踏まえた組織分析や職場環境改善活動等のフォローアップサービスの提供でニーズに応えていきます。それが成長戦略の一つです。 一気通貫のサービス体制がM&Aにおいてもポイントになるのですね。アセスメント(経営層等を中心とした人材の能力・適性の評価)事業とコーチング(能力向上のための教育、経営意識の改革)事業を二本柱とする新規事業はいかがでしょうか。 渡部社長 :AIMSはエグゼクティブサーチを専門としていますから、経営者や役員の方と常にコンタクトをとっています。その中で、「来年の役員選任に当たって部長クラスのアセスメントをやってくれないか」とか、そういう方への「研修やコーチングをやってくれないか」といった依頼を受ける事があります。以前からあった事で、間違いなくニーズはありますし、最近、それが増えています。これまでは外部に委託していましたが、今後は社内に取り込んでいこうという事です。先ほどお話したエグゼクティブサーチ企業等は、現在、人材紹介よりもアセスメントの事業規模の方が大きくなっていると聞いており、かなり高い対価で、サービスを提供しているようです。コーチングはアセスメントと一体となって提供される事が多いので、コーチングも同様にニーズがあると考えていいでしょう。 【投資家へのメッセージ】 渡部社長 :少子高齢化が進展する我が国においては、政府の「働き方改革」に示されているように、働きやすい職場環境の整備や適材適所を実現する労働市場改革により、労働力を確保し生産性を向上させる事が不可欠です。当社は、会社設立以来、外からの「適材適所を実現する人材紹介」と内からの「ビジネスケアによる環境整備を支援するメンタルヘルスケア」により、社会のニーズに応える事ができるサービスを提供してきました。時にはFace To Faceで、お互いを理解しあう事が必要なビジネスですから、必ずしも規模の優位が効かない分野です。今後、これらの事業を更に伸ばし、その上で、新規事業を追加する事で、お客様に対して付加価値の高いサービスをパッケージで提供できる強みを更に強化していきたいと考えています。 なるほど。外的能力の適材適所を実現する人材紹介と内面の環境整備によるモチベーションの向上を支援するメンタルヘルスケアは、「企業における人材の価値の向上」というミッションの実現だけでなく、政府が進める「働き方改革」の考えにも合致し、社会貢献という性格も有する訳ですね。長時間にわたり、丁寧なご説明をいただき有難うございました。渡部社長とヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社の益々のご活躍とご発展をお祈り申し上げます。 |
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<参考:コーポレート・ガバナンスについて> |
基本的な考え方 ・コーポレート・ガバナンスの取組みに関する基本方針 当社は、事業環境が刻々と変化する人材紹介業界において企業価値の持続的な増大を図るには、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めて社会的信頼に応えていくことが不可欠であるとの認識のもと、ガバナンス体制の強化・充実を重要課題と位置づけています。 こうした認識のもと、業務分掌の実施や規程の整備等により内部統制を強化するとともに、随時体制の見直しを実施し、企業価値の向上を図ることで、株主や債権者、従業員など企業を取り巻くさまざまなステークホルダーへの利益還元に努めてまいります。 <コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由> |