(6722:JASDAQ) エイアンドティー 中国向け売上倍増 増収増益確保
今回のポイント |
・18年12月期の売上高は前年同期比0.6%増の104億30百万円。センサー(消耗品)、他社製品が減少したが臨床検査機器システムが好調に推移し増益を確保した。中国向け売上が倍増となった。営業利益は同0.1%増の7億74百万円。臨床検査情報システムの新製品販売開始に伴う初期導入対応費用が増加し粗利益は減少した一方、同新製品に関する開発業務委託費中心に販管費が同1.5%減少した。対計画比では利益は未達だったものの、売上はほぼ計画通りだった。成長のために同社が重視している海外売上比率は直接、実質でそれぞれ12.2%(+2.9P)、28.2%(+0.7P)と伸長した。・19年12月期の売上高は前期比7.4%増の112億円の予想。臨床検査機器システムの大型案件が増加。自社製品販売も増加する。臨床検査情報システムの新製品における対応工数の収束、他社製品減少などにより粗利も同7.3%増加。営業利益は同30.4%増の10億10百万円の予想。持続的成長のための人材採用増、検体検査自動化システムの新製品開発費などで販管費も同2.4%増加するが粗利増で吸収する。配当予想は前期と同じく24円/株。予想配当性向は20.9%。
・変化率は小さかった18年12月決算であったが、自社製品販売の拡大、中国ビジネスの伸長と手応えは大きかったようだ。351百万円から780百万円に倍増した中国向け売上高については今後半期ごとの開示が行われるという事で、投資家としては同社を判断するための重要な指標をウォッチすることが可能になった。中計の最終年度2020年12月期を見るうえでは、中国ビジネスの伸長、アークレイとのアライアンス等売上高に関しては達成に向けた材料が揃ってきた。自社製品販売の推移など、売上高経常利益率10%超を目指した取り組み、進捗を注目したい。 |
会社概要 |
電解質検査、グルコース検査を中心とした臨床検査のための装置、試薬などの開発、製造、販売を行う「血液検査事業」と、臨床検査作業の効率化を支援する「IT化・自動化支援事業」が柱。
検査室に必要な製品を揃え、レイアウトも含めて導入から運営までの最適なソリューションをワンストップで提供できる総合提案力、海外の有力OEM供給先が評価する高い技術力などが強み。【1-1 沿革】 総合化学メーカーである株式会社トクヤマ(4043、東証1部)がそれまでの素材中心からファインケミカルへと事業範囲の拡大を指向していた1980年代、保有する様々な技術・アイテムのたな卸を行う中で、化学製品の一つであるラテックス(ゴムの原料)を用いて抗原抗体反応を検査するラテックス試薬の開発に取り組むこととした。 その過程で、1978年に全自動血糖分析装置を発売するなど業界をリードしてきた臨床検査装置の開発・製造・販売を手掛ける株式会社アナリティカルインスツルメンツと業務提携を行い、1988年4月に両社により販売合弁会社、(旧)株式会社エイアンドティーが設立された。(アナリティカルインスツルメンツの「A」とトクヤマの「T」を結合) 1990年11月には現在の主力生産拠点である江刺工場(岩手県)を新設。 1994年に(旧)株式会社エイアンドティーを吸収合併し、併せて株式会社トクヤマの診断システム部門を統合し商号を株式会社エイアンドティーに変更した。1980年代から90年代は臨床検査の分野において多くのコア技術が産み出された成長期であり、その追い風を受けて順調に業容は拡大。 2003年7月、株式を店頭登録した。現在は東証JASDAQ市場に上場している。 【1-2 経営理念など】 【1-3 市場環境】 (医用検体検査機器動向) 主な上場の臨床検査装置メーカーを比較してみた。 【1-4 事業内容】 (臨床検査とは) 「電解質検査」 電解質検査は、体液中の電解質イオンの濃度を測定し、バランスの崩れを調べて体内の障害を診断するもので、採取した血液や尿を検査装置で検査する。 「グルコース検査」 1.事業分野 ①血液検査事業 (商流) *海外 (ビジネスモデル) (主な参入企業) ②IT化・自動化支援事業 LASの導入により、従来は7~8名が必要であった作業人員は2名程度で賄うことができるほか、検査時間も90分の検査が30~40分に短縮できるという。 (商流) *海外 (ビジネスモデル) (主な参入企業) 2.開発体制 3.生産体制 4.販売ルート&販売方法 【1-5 特長と強み】 ◎特定分野での高い技術力 2018年12月期のROEは8%を下回ったが、これは製造設備移転費用および業務委託契約解約損等を特別損失として計上したことが主な要因。19年12月期の売上高当期純利益率は6.4%と予想している。 |
2018年12月期決算概要 |
![]() 売上高は前年同期比0.6%増の104億30百万円。センサー(消耗品)、他社製品が減少したが臨床検査機器システムが好調に推移し増益を確保した。中国向け売上が倍増となった。 営業利益は同0.1%増の7億74百万円。臨床検査情報システムの新製品販売開始に伴う初期導入対応費用が増加し粗利益は減少した一方、同新製品に関する開発業務委託費中心に販管費が同1.5%減少した。 当期純利益は同23.6%減の5億18百万円。湘南工場から江刺工場の新棟への設備移転費用及びセンサーの製造工程自動化装置の製造業務委託中止による業務委託契約解約損等を特別損失として計上した。 対計画比では利益は未達だったものの、売上はほぼ計画通りだった。 成長のために同社が重視している海外売上比率は直接、実質でそれぞれ12.2%、28.2%とそれぞれ伸長した。 ◎臨床検査機器システム ◎臨床検査試薬 ◎消耗品 ◎その他 売上債権の増加等で流動資産は前期末比5億20百万円増加。減価償却が進み固定資産は同2億39百万円減少の43億39百万円。資産合計は同2億81百万円増加の126億11百万円となった。 営業CFはほぼ変わらず。江刺工場の増設が完了したことから、有形固定資産の取得による支出は減少し、投資CFのマイナス幅は縮小。フリーCFはプラスとなった。長期借入れによる収入がなくなり財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは低下した。 (4)トピックス (アークレイ社概要) (業務提携契約締結の背景) (業務提携の内容) 2019年は、グルコース検査の分野での協業をすすめる。糖尿病の腫瘍検査項目にはグルコース(血糖値)とHbA1c(グリコヘモグロビン)があるが、エイアンドティーはグルコースに、アークレイ社はHbA1cに強みを持っているため、エイアンドティーはグルコース分析装置「GA09II」をアークレイ社に供給し、販売は2月より始まっている。 |
2019年12月期業績予想 |
![]() 売上高は前期比7.4%増の112億円の予想。臨床検査機器システムの大型案件が増加。自社製品販売も増加する。臨床検査情報システムの新製品における対応工数の収束、他社製品減少などにより粗利も同7.3%増加。 営業利益は同30.4%増の10億10百万円の予想。持続的成長のための人材採用増、検体検査自動化システムの新製品開発費などで販管費も同2.4%増加するが粗利増で吸収する。 配当予想は前期と同じく24円/株。予想配当性向は20.9%。
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中期経営計画(2018年12月期~2020年12月期)の進捗状況 |
![]() ![]() *18年12月期 *19年12月期 *20年12月期 |
三坂社長に聞く |
(1)中計基本方針の進捗に関する自己評価
![]() ![]() 当社にとってグローバル化は成長を追求するための必須条件だが、まずは大きな成長が期待できる中国ビジネスに集中していく。
(2)中国市場における当社のアドバンテージ
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<参考1:中期経営計画の概要> |
2018年5月に創業40周年を迎えるにあたり、2028年の創業50周年を見据え、今期をスタートとする3年間の中期経営計画を2018年2月に策定した。
「持続的な成長に向けた体制づくり」をテーマに掲げ、直近3期の売上高はほぼ横ばいで、経常利益は2015年12月期にピークを付けた後、減少傾向となっていることを踏まえ「増収増益基調への転換・経常利益のV字回復」を目指す。<数値目標> 2020年12月期、「売上高120億円以上、売上高経常利益率10%以上、海外直接売上高比率10%以上」を挙げている。 目標達成のためには両事業とも、海外展開が不可欠と考えている。 |
<参考:コーポレートガバナンスについて> |
![]() 最終更新日:2018年3月30日 <基本的な考え方> <コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由> |
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