メキシコ、累積9回目の利上げ~今後のペソ相場は?
- 政策金利は0.25%引き上げられ、6.75%となり、累積9回、合計3.75%の利上げ幅となりました。
- 中銀目標を大きく上回るインフレ高騰を受け、是が非でも物価を抑え込む姿勢を改めて堅持しました。
- 内外の政治リスクが重しですが、高金利・好景気を背景に通貨ペソは堅調に推移すると思われます。
インフレ抑制と米利上げ追随で引き締めバイアス
メキシコ銀行(以下、中銀)は、18日の金融政策会合で、政策金利である翌日物金利を0.25%引き上げ、6.75%とすることを全会一致で決定しました。15年12月から始まった利上げはこれで9回目となり、累積の利上げ幅は3.75%となりました。
一部食品の高騰を受け、4月CPIが前年同月比+5.82%と、約8年ぶり高水準に達し、インフレ目標上限+4%を大きく上振れしたため、高止まりするインフレを抑え込む強い意志を、中銀は改めて堅持しました。累積的なペソ安や、年初からのガソリン価格引き上げがインフレ期待に波及するのを阻止すべく、中銀は利上げに踏み切った模様ですが、今後数ヵ月インフレは高止まりし、沈静化するのは17年末もしくは18年初めとの見解を示しています。さらに、市場コンセンサスである年内複数回の米利上げに追随する姿勢も踏まえ、当面は金融引き締め局面が続くと予想されます。
一方、ペソ下落要因となった米国の通商政策ですが、国境の壁の予算計上先送りや、米国のNAFTA(北米自由貿易協定)離脱翻意など、対メキシコへの強硬策の軟化を受け、ペソは1月の史上最安値から回復、主要国通貨の中でも好調なパフォーマンスとなっています。ただ、米国がNAFTA再交渉を議会通告するなど、対米関係をめぐる不透明感は払しょくされていません。
内外の政治的リスク後退が、ペソ上昇のカギに
また、6月4日地方選挙のメキシコ州知事選で与党の制度的革命党(PRI)が敗北すれば、構造改革が後退する恐れがあるなど、国内の政治リスクもくすぶっています。
ただ、堅調なサービス業の活動などを背景にGDPは市場予想を上回るなど、経済は回復傾向にあるため、対米関係悪化のリスクが大幅に後退すれば、相対的に高い金利や好調な経済を背景に、ペソは底堅く推移すると思われます。
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