来週の金融市場見通し(2016年10月24日~2016年10月28日)

2016/10/21

■来週の見通し

中国の7~9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動を除く実質で前年同期比6.7%増と、今年の目標である6.5%~7%に収まり、安定成長を維持していることが示唆されたとして、中国経済の下振れ懸念が後退しています。他方、テーパリング(資産買入れプログラムの段階的縮小)が懸念されていた欧州中央銀行(ECB)は、金融政策の現状維持を決めました。また、米大統領候補による最後のテレビ討論会でもクリントン氏優位は揺るがず、金融市場の混乱が避けられるとの観測が広がっています。懸念材料が後退する中、本格化する国内主要企業の決算発表を確認していくことになります。

◆株価 : 1万7,000円台で値固め

日経平均株価は、上値の壁とみられていた1万7,000円を上抜け、4月以来の高値をつけました。中国不安が後退していることに加え、米大統領選をめぐる不透明感やECBの金融政策への警戒などが後退していることが背景。ドル円が、逃避需要の後退に加え、年内の米利上げを織り込む形で上昇していることも安心材料。本格化する企業決算発表で、業績下振れへの過度の警戒が和らぐと、上値を試す展開も。もっとも、短期的な過熱感から利益確定売りに押される場面もありそうです。

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◆長期金利 : 狭いレンジが継続

10月の長期金利はマイナス0.08%~マイナス0.05%の狭いレンジでの動きが継続しています。日銀による残存期間別の買入れのオファー額は今のところ変更なしで、現状のイールドカーブ(利回り曲線)は、日銀が適切とみる水準と離れていないと考えることができそうです。米金利も年内の利上げを織り込み、やや落ち着いた動きになっていることも安心材料。新発10年物国債の業者間での取引がない日が発生するなど売買の動意に乏しく、動きの少ない相場が続きそうです。

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◆為替 : 方向感を探る

ドル円は、104円を挟んで一進一退の動きが続いています。米国で年内の利上げ観測が強まっていることは、ドル買い材料。中国不安や米大統領選をめぐる不透明感が後退し、逃避通貨としての円を買う動きが弱まっていることも、ドル円を押し上げ。ただ、米長期金利の上昇が一服しており、年内の米利上げをほぼ織り込んできている模様で、さらなる上昇には材料に乏しい状況。一段の上昇では輸出企業によるドル売り・円買いも。米利上げにらみですが、方向感は出にくそうです。

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来週の注目点

米GDP統計(16/7-9月期、速報値) 10月28日(金)午後9時30分発表

米国の実質国内総生産(GDP)は1-3月期に前期比年率0.8%増、4-6月期に同1.4%増と、低めの成長にとどまった後、7-9月期については同2%台後半へ回復する見込みです。

年前半の米国経済は、雇用の回復などを背景に、個人消費が堅調に推移しました。一方、設備投資や輸出の低迷のほか在庫調整がGDPを押し下げました。しかし年後半は、引き続き雇用や消費が底堅いとみられる上、在庫投資の回復が予想されることから、高めの経済成長率が見込まれます。

今回のGDPが良好な結果となった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内(おそらく12月)に利上げを行うとの観測が強まりそうです。

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