ちゃんと勉強した投資家だけが生き残る!
猛暑・酷暑が続いている。私も熱中症にならないよう外出する時は帽子を被り、また不必要な外出は極力控えているが、それでもキツイ。読者の皆様もくれぐれもお大事にしていただきたい。
さて、8/5に日本経済新聞出版社より新刊本を発売した。
『賢い投資家必読!株に強くなる本88』(太田忠、日経ビジネス人文庫)
本の帯には「ちゃんと勉強した投資家だけが生き残る!」
と大書してあるとおりスマートな個人投資家になっていただくための本である。
株式投資のブックガイドは2001年6月に『投資をするならこれを読め!』、2007年9月に『投資をするならこれを読め 改定増補版』と執筆してきたが、このシリーズは好評なため、今回は前著で紹介した本の1/3を入れ替え、タイトルも改題しての発売となった。実質的には第三版になる。賢い投資家になるために必読の88冊を、以下の10のジャンルにわたって、入門書、専門書から知る人ぞ知る名著、思わぬ面白さの小説まで紹介している。
【目次】
序章 これから投資を始める人へ
第1章 投資の極意はここにある
第2章 達人に学べ
第3章 よい会社を見極める
第4章 市場と心の関係を知ろう
第5章 お金について深く知る
第6章 経済の仕組みがわかっていないと……
第7章 とても大事なグローバルという視点
第8章 実戦的な投資技術を身につける
終章 上級者向けのとっておきハイレベル本
株式投資の経験の浅い方々はもちろんのこと、ベテランの方々にもいろいろと発見があると思うので、ご興味のある方はぜひ手に取っていただきたい。株式投資のスキルアップにお役に立つと思う。なお、以下に本文の「はじめに」の主要部分を掲載する。
「はじめに」
株式投資に関する書籍は膨大な数にのぼり、株式市場の活況とともに洪水のごとく巷にあふれる。一方、読者のレベルはさまざまであり、自分にぴったりくる本を探し当てるのは至難の業である。本書の目的は株式投資の初心者にとどまらず、より高度な知識を求めているセミプロの個人投資家、あるいはじっくり本を探す時間のない人や、大型書店が近くになくいろいろな本を手に取って比較できないという人々のために投資に役立つ本を紹介することである。
株式投資には万人に通用する「法則」なるものは存在しない。各人がそれぞれのニーズに合ったアプローチを求めている。したがって、本書ではできるだけ幅広い要望に対応できるように株式投資に関する実用書、好著および名著の紹介をおこなっている。皆さんにとって実践的かつ立体的に株式投資に取り組むための羅針盤的役割を果たすことを心がけた。
『投資をするならこれを読め!』を私が日経ビジネス人文庫に書き下ろしたのは今から十三年前の二○○一年のことである。版を重ねながら読者から好評だったため、六年後の二〇〇七年にボリュームアップして『投資をするならこれを読め 増補改訂版』を刊行した。あれからさらに七年が経過し今回『賢い投資家必読!株に強くなる本88』として新たに上梓される運びとなった。実質的には第三版といえる。
今回の新版で取り上げる本の数は、本編における七九冊とコラムで紹介した九冊の合計八八冊である。旧版ではできる限り絶版の本を取り上げない方針であったが、今回はすぐれた名著や好著については絶版本も取り上げている。インターネットにおける中古本の流通が格段に向上したためであり、簡単にしかも安価で手に入れることができるようになった。積極的に活用していただきたい。
本書の構成は、まず序章「これから投資を始める人へ」にて、株式投資の初心者向けの入門書やネット証券での株式売買に関するもの、投資信託に関わる本などを紹介。第1章では「投資の極意はここにある」と題して誰もが一度は読んでおきたい名著を取り上げた。第2章から第8章にわたってはカテゴリー別の構成をほどこし、読者の関心に応じて興味ある本を選択できるようにしている。旧版にはなかった「とても大事なグローバルという視点」という章も追加した。終章では「上級者向けのとっておきハイレベル本」としてやや難解であるが知的満足度の高い本を並べてみた。さらに番外編として、コラムの形で面白い本を文学作品にまで広げて紹介している。より読者の方々の興味をそそるものと期待している。なお、本書では巷にあふれているいわゆるハウツーものや銘柄紹介のような本は避けた。これらはすぐに陳腐化して価値を失っていくものが大半であり、時代を超えて残る本がほとんどないからである。
本書で取り上げた八八冊の本はすべてが全面的にすばらしい内容であるわけではない。部分的に点検すると批判すべき点や、あまり興味や関心が起こらないものもあるかもしれない。こうした面を批評する仕事は、読者の皆さんにおまかせすることにしよう。ただし、その欠点を差し引いても得るところの多いものばかりである。
私は一九八八年に証券業界に入ってから、努めて経済および証券関係の書籍を収集し、さまざまな先人たちの知恵や知識を蓄えようとしてきた。これは私が文学部のフランス文学科卒という、およそ証券業務とはかけ離れたところから出発していたのがどうやら原因のようだ。同期入社組は当然のことながら経済学部や商学部出身者が多かった。彼らに比べると文学部で身につけた知識は実社会ではまるで役に立たず、当時の私にはせめて同じレベルに追いつきたいという切実な問題があった。あれからおよそ二五年。自宅の書庫の収容規模は二万冊となり、さまざまな本に囲まれる生活のありがたさを日々感じている。「書斎は人生の力である」と言いたい。
「資産運用力の向上で人生を上方修正しよう!」
というのが太田忠投資評価研究所のキャッチフレーズであるが、本書の読者の方々には、紹介した本をきっかけに本格的な資産形成に取り組んでいただき、ぜひとも「人生を上方修正」してほしい。すばらしい成果を実現されることを心より期待している。