FOMC後の株式市場は「答え合わせ」。年末ラリーはひとまずお預けか?
国内外の市場が注目していた米FOMCが今週9日(火)から10日(水)にかけて開催され、市場の予想通り0.25%の利下げが決定されました。
この結果を受けた米国株市場では、S&P500が終値ベースでの最高値を更新する場面があったほか、中小型株銘柄で構成されるラッセル2000も最高値を更新、NYダウについては節目の48,000ドル台を回復するなど、主要株価指数が揃って上昇する初期反応となりました。
結果的にFOMCを受けた米国株市場は上昇で反応した格好ですが、注目度が高かった割には株価上昇の勢いはあまり感じられず、このまま「年末ラリー」へとつながっていくのかは、現時点では微妙かもしれません。
あらためて、今回のFOMCの結果をざっくり整理してみると、0.25%の利下げが決定されたほか、政策金利の見通しを示したドット・チャートでは、2026年の利下げ回数が1回と、前回(9月)公表の見通しと同じであるなど、ほぼ市場予想の範囲内の内容でした。
さらに、FOMC後に行われたパウエルFRB議長の記者会見では、現在の金利水準が中立金利(景気を冷やしもふかしもしない金利水準)に近づいてきたとの認識や、次回以降の政策の方向性に対して踏み込んだ発言もありませんでした。
それでも米国株市場が上昇で反応したのは、米財務省証券(TB)の購入を始める方針を示し、金融市場に流動性が供給されることで株などのリスク資産に資金が流入しやすくなるとの思惑が働いたことが影響したと思われます。そのため、今回のFOMCについては、その内容をトータルでまとめると「買い」という判断になったものの、中長期的な上昇相場シナリオを構築するには不十分だったと言えます。
実際に、米国の債券市場を見ると、本来ならFRBの利下げで下がるはずの米10年債利回りが10日(水)の取引終了時点で4.15%と、あまり低下していません。
また、来週の米国では、11月分の雇用統計をはじめ、小売売上高や、消費者物価指数(CPI)など、本来FRBが金融政策の判断材料にしたかった経済指標が公表される予定となっており、FOMCの結果と照らし合わせる「答え合わせ」をしながら、今後の金融政策への方向感を探って行くことになります。
このほか、10日(水)の米国株取引終了後に発表されたオラクルの決算では、売上高が市場予想に届かず、時間外取引でオラクル株価が10日(水)終値に比べて一時10%超も下落する動きを見せており、AI・半導体関連銘柄への影響も懸念されます。
したがって、株式市場が年末ラリーに突入するかどうかは、来週の動向を見極めてからということになりそうです。
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