VIX指数急騰後の株価はどのように推移する傾向があるか
VIX指数急騰後の株価はどのように推移する傾向があるか
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- VIX指数は一般に株価の先行きに不透明感が強まると大きく上昇しやすく恐怖指数とも呼ばれる。
- 2008年以降VIX指数の40超えは今局面を除き5回あるが、足元の50超えはかなり大きな数値。
- VIX急騰でも1年以内に市場は落ち着き、株高となる過去の傾向は、長期視点の大切さを示唆。
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VIX指数は一般に株価の先行きに不透明感が強まると大きく上昇しやすく恐怖指数とも呼ばれる
VIX指数とは、S&P500種株価指数のオプション価格(売る権利や買う権利を取引する際の価格)をもとに、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出している指数です。例えば、VIX指数の10という数値は、今後30日間において、S&P500指数が現在の水準から上下2.9%(10を12の平方根で除した値)の範囲で推移するという投資家の予想を示唆しています。
したがって、株価の先行きに不透明感が強まる場面では、投資家が予想する株価の変動範囲が拡大し、VIX指数の値は大きく上昇する傾向があることから、VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれています。VIX指数は通常、10〜20程度で推移していますが、一般に30を超えると市場の不安感が強まっている状態とされ、40を超えると極度の警戒感が広がっている状態とされます。
2008年以降VIX指数の40超えは今局面を除き5回あるが、足元の50超えはかなり大きな数値
今回の米相互関税ショックを受け、4月8日時点のVIX指数は52.33まで上昇しました。これは今後30日間で、S&P500指数が4月8日の終値から上下15.1%の範囲(4,230.05ポイントから5,735.49ポイント)で推移するという投資家の見方を反映しており、依然として株価の先行きが極めて見通しにくい状況にあると思われます。そこで、以下、過去にVIX指数が40を超えて上昇した際、その後の株価はどのように推移したかを検証します。
2008年以降、VIX指数が40を超えた局面は5回ありました(今局面は除く)。具体的には、①2008年のリーマン・ショック、②2010年の欧州債務危機、③2011年の米国債ショック(米国債の格下げによる市場の混乱)、④2015年のチャイナ・ショック、⑤2020年のコロナ・ショックの時ですが(図表)、今回のVIX指数の52.33は、まだリーマン・ショックやコロナ・ショックほどではありませんが、かなり大きな数値であることが分かります。
VIX急騰でも1年以内に市場は落ち着き、株高となる過去の傾向は、長期視点の大切さを示唆
①において、VIX指数は2008年11月20日に80.86を記録しましたが、S&P500指数は30営業日後に20.0%、半年後に20.1%、1年後に45.0%上昇しました。②から④では、VIX指数は40台に達しましたが、②の30営業日後を除き、S&P500指数は30営業日後、半年後、1年後、いずれも上昇しています。⑤において、VIX指数は82.69を記録しましたが、S&P500指数はやはり、30営業日後、半年後、1年後に上昇しています。
このような動きを踏まえると、VIX指数が40を超えて急騰する局面は、確かに市場に極度の警戒感が広がっている状態ではあるものの、その後1年以内に市場は総じて落ち着きを取り戻し、S&P500指数は上昇する傾向があるといえます。今回も、米相互関税をめぐる不透明感は強く、VIX指数は50を超えていますが、過去の実例は、やはり長期の視点が大切であることを示唆しているように思われます。
(2025年4月9日)
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