なぜ、日経平均株価の上昇と個別株が連動しないのか?~2021年12月17日版~

2021/12/17

 

「今年の12月は、傾向通り株価が上昇するのか?」気になっている個人投資家の方はいますか?

今週前半は日経平均株価が横ばいでしたが、半ばから上昇し、再び29,000円台まで戻っきたことや、年末は上昇しやすい傾向があるという情報もあることから、このまま上昇を期待している方も多いかもしれません。

しかし、その期待とは裏腹に、依然として方向感が乏しく、株式市場がどのように動くのか、全く予測ができない状態でしょう。

特に日経平均株価を基準に株式市場のトレンドを捉えている個人投資家にとっては、毎日悩ましい状況かもしれません。

そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。

 

なぜ、日経平均株価の上昇と個別株が連動しないのか?


まず、こちらをご覧ください。こちらは12/2~12/16の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

  • 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
  • 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
  • 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
  • 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

この4つの指数をふまえると、日経平均株価の動向で日本株市場のトレンドを捉えている方にとっては、前週に続き、今週も「おかしい」とまでは思わないものの「日経平均株価の上昇ほど、個別銘柄が上昇しない…」と疑問が起きやすい週だったでしょう。

なぜなら、日経平均株価は、この2週間で上下しながら上昇し、再び29,000円台に到達しましたが、株式市場全体のトレンドは、「下落勢い」が全体的に強かったからです。

昨日(12/16)になり、ようやく底値指数を天井指数が上回りましたが、それまでは底値指数が目立つ状態でした。

そういった意味では、今週前半は日経平均株価がほぼ横ばいに推移していたので、日経平均株価を基準に株式市場のトレンドを捉えている方とっては、個別銘柄ベースでは下落傾向があり、差異を感じたときかもしれません。

また、前週も含めると、日経平均株価はなだらかに上昇しているように読み取れます。しかし、全体的に下落傾向を示す底値指数が目立っていることからも、日経平均株価と実際の株式市場のトレンドに差異があったと読み取れるでしょう。

そのようなこともあり、前週から引き続き「なぜ、思った方向に株価が動かないのか?」と疑問に思った個人投資家も多かったかもしれません。

さらに現状を詳しく理解するために、直近2ヶ月間の状況も見てみましょう。下のグラフをご覧ください。

 

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

こちらを見ると、11月下旬の日経平均株価の大幅下落以降、株式市場の下落傾向を示す「底値指数」が目立っていることが分かります。

反対に、日経平均株価が12/7から12/9にかけて約900円上昇しても、上昇傾向を示す「天井指数」が上昇していないので、11月下旬以降、日経平均株価の動向と実態に差異が出ていることが分かります。

繰り返しになりますが、ここからも日経平均株価を基準にトレンドを捉えている投資家にとっては、個別株との連動性が低く、疑問に感じときだったでしょう。

しかも、下落傾向は、この4つの指標の中では最も強いのですが、その強さは、それほど強くありません。やや下落傾向はあるものの、全体的には明確なトレンドが発生していません。

それをふまえると、市場全体の株価変動が小さい状況が続いているので、利益を狙いにくい状況であったと考えられます。

例年12月は上昇傾向がありますが、この流れを組んだまま12月中旬を迎えた今、例年通りの傾向に年末に向け株価が上昇するかは、判断が難しいところでしょう。

このように、引き続き方向感が乏しい直近の株式市場ですが、週明けは、どのような展開が予測されるのでしょうか。

 

週明けの株式市場の動向は?


週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。

前週は、マイナス圏を推移してしましたが、今週に入り、ようやくプラス圏に現れてきました。そして、ようやく昨日(12/16)に10を超える水準まで上昇しました。

しかし、それは、ここからさらに上昇する可能性があることを示唆するのではなく、あくまでも一時的な上昇だと読み取れます。

通常であれば、ここから上昇を期待したいところですが、次に見るRISK指数の状況をふまえると、難しいでしょう。

むしろ、ここにきて、これまでなかなか上昇しなかったOVER指数が上昇してきたので、これまでのボックス圏を、上に抜けるのか?下に抜けるのか?が分からない状況になったでしょう。

では、下落の可能性を示すRISK指数は、どのように推移しているのでしょうか?次は、こちらをご覧ください。

 

週明け暴落の可能性は?


「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前にプラス圏に現れます。

前週に続きプラス圏を推移し、今週もプラス圏を推移中です。12/2の「約30」をピークに下がりつつあるものの、依然として一進一退の状況が続いています。

やや気がかりなのが、前週はRISK指数が下落してきたのですが、今週に入り、じわりじわりと上昇してきています。

暴落リスクのもう一つの目安となる「空売り指数」を見ると、前週よりはやや上昇してきているものの、まだ低い水準です。

これが「10程度」まで上昇すれば、暴落や大幅下落への警戒を今よりも緩めることができるのです。

しかし、RISK指数もプラス圏で、空売り指数も低水準であることをふまえると、まだ警戒を緩めることができないでしょう。

これらの状況をふまえると、日経平均株価は昨日(12/16)上昇したものの、株式市場全体は、まだ暴落や大幅下落のリスクがあると想定しておいたほうが良いでしょう。

なお、このRISK指数が「50」まで上昇するようなことがあると、暴落が起きる可能性が出てきます。今週よりは警戒しないものの、引き続き、このRISK指数が、どのように動くかに注目すると良いでしょう。

 

どうする…週明けの投資戦略?


前週に続き、今週もボックス圏を推移しています。12/10までの投資主体別売買動向によると、外国人投資家」「個人投資家」が売り、「機関投資家」が買いの状況です。

需給バランスでみると、やや「買い」が優勢だが「均衡」に近い状態。先週の日経平均株価の上昇は、機関投資家が支えたと考えられる状況です。

その流れが、今週も続いていると考えられます。下落傾向があったものの、明確な下落傾向とは言えない状況でしたので、総合的に見ると、引き続き方向感の乏しいボックス圏に入っていると考えられます。

しかも、前週に続き、まだ暴落や大幅下落のリスクを完全に緩めることができず、引き続き警戒が必要な状況です。

そういった意味では、前週に続き再び方向感が出るまで、様子見をするのも戦略の選択肢の一つでしょう。ボックス圏では、方向感がないことが災いし、株価が思った方向とは逆方向に動きやすいので、売買のタイミングに注意が必要です。

特に、手仕舞いのタイミングは、後々後悔するような場面もあるかもしれませんので、ボックス圏でタイミングを見極めるのは難しいでしょう。

だからこそ、これまで積み上げた利益を不用意に失わないためにも、週明けは「様子見」をして、上抜けと下抜けのどちらになるか?もしくは、そのままボックス圏が続くか?など、何もせずに株式市場の動向を見るのも、戦略の一つでしょう。

ぜひ、このような情報を参考にしていただきながら、あなたの週明けの投資戦略を考えてみてはいかがでしょうか。

 

今週のポイント~5つ~


【ポイント.1】
12/10までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」「個人投資家」が売り、「機関投資家」が買い。需給バランスでみると、やや「買い」が優勢だが「均衡」に近い状態。先週の日経平均株価の上昇は、機関投資家が支えたと考えられる。

【ポイント.2】
今週は、前週に続き、日経平均株価と株式市場全体の動向に、差異がある状況。市場全体は下落傾向が強いにも関わらず、日経平均株価は下落の方向感なく上下していた。

【ポイント.3】
日経平均株価の動向も結果的にはボックス圏を推移し、株トレンド指数全体も、下落が優勢であるものの、明確な下落傾向ではないので、依然として方向感がない状況。その中で、日経平均株価が上下していたので、日経平均株価を基準にトレンドを捉える個人投資家にとっては、難しい週だったかもしれない。

【ポイント.4】
OVER指数の直近の動向を見る限り、今週半ばから日経平均株価が上昇したことで、さらなる上昇を期待したいところだが、まだ上昇の方向感が出るとは読み取りにくい状況。日経平均株価が再び29,000円台に入ったが、その体感ほど株式市場全体は上昇していない。RISK指数との兼ね合いで考えると、ここから、すぐに上昇の勢いが増すとは考えにくいだろう。

【ポイント.5】
RISK指数が、11/25以降プラス圏を推移し、まだマイナス圏に入らないことを考慮すると、まだ下落方向に株価が動く警戒を緩めるのは危険だと考えられる。前週のように突発的な暴落の危険性は薄れたものの、まだRISK指数がプラス圏を推移しつつ、空売り指数が「3~6」程度の低い水準なので、10前後まで上昇するまでは、暴落への警戒を緩めないほうが良いと考えられる。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2021/12/16時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

 

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この記事を書いている人

高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ) 高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック

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