引き続き一番出遅れのバリュー系銘柄に注目
あれだけ暑かった8月も9月の第2週から急に涼しくなり、残暑を感じないままに秋に突入した感じだ。今年は今のところ台風上陸がなく大きな被害が出ていないが、まだまだ気が抜けない。一方、唯一除外されていた東京都のGoToトラベルキャンペーンも10月から始まる可能性が濃厚となった。観光地に活気が戻ってきているが、コロナ対策をしっかりしつつ、経済を回すという日本の施策が軌道に乗ることを願っている。さて遅くなったが、8月のポートフォリオ状況ならびに9月の近況について記したい。
8月のマーケットは日米市場ともに上昇した。
米国市場は5ヶ月続伸。NYダウは28000ドル台に乗せ半年ぶりの高値、S&Pとナスダックは過去最高値を更新。7月の雇用統計は+176万人と予想の+148万人を上回り、失業率は前月より0.9ポイント低下の10.2%に。1日あたりのコロナ感染者数がピークの7万人超から5万人を下回り安心感。7月の中古住宅販売件数は+24.7%と過去最大の伸び率となり、8月のPMIも1年半ぶりの高水準。一方、FRBは物価上昇率2%の一時超過を容認する指針を打ち出し、長期的な低金利政策が見込まれるとの見方もプラスに。4-6月決算ではアップル、フェイスブック、アマゾンなどが好決算となり買われる。8月のNYダウは28430ドルと前月より2001ドル上昇し月間騰落率は+7.6%。ナスダックは11775となり1030ポイント上昇の+9.6%となった。
東京市場は反発。トランプ大統領が追加の経済対策の大統領令を発令したことやワクチン開発のニュースを材料に買い優勢となり、日経平均は2/11以来半年ぶりの高値となる23000円台を回復。一方、4-6月GDPは年率-27.8%と戦後最大の落ち込みとなり、1Qの企業決算も低調に。8/28に突然の安倍首相辞任の報道で売り圧力が高まる。為替は先月末の104.45円から今月末は105.50円と円安に。売買代金は2.1兆円程度と商いは低水準。8月の日経平均は23139円で取引を終え、7月末の21710円から1429円上昇し月間騰落率は+6.6%、Topixは+8.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+5.6%、マザーズ指数は+17.1%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における8月のパフォーマンスは+4.0%となり、年初来-2.0%、累計では+156.8%(7月末+146.8%)と前進。8月末時点のポートフォリオの株式比率は75%で29銘柄を保有(7月末は72%で27銘柄を保有)。株式部分の含み益は+30.4%(7月末は+24.5%)。ただし、75%のうち現物株のウェートは40%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計80%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは55%のロングポジションである。
8月は米国市場が続伸、日本市場は反発した。7月の下旬に日本のコロナ感染者数が急増したことで7月最終週の日経平均は1000円もの下落を記録していたが、過度な悲観が後退したことで挽回する展開となった。
9月に入ると高値警戒感が漂う米国市場が主力ハイテク株中心に売られて下落、一方、日本市場はほとんど大きな影響を受けることなく堅調な推移となっている。新首相に菅官房長官が指名され政治的空白がなかったことや安倍路線の継承で政治リスクが後退。新型コロナ感染も欧米に比べると、抑えられている点も評価されている。
8月のコラムにおいて「弊社のモデルポートフォリオでは、マーケットで一番出遅れているバリュー系銘柄、すなわち小型の景気敏感株の買い戻しを徐々におこなっている」と述べたが、このスタンスは継続している。コロナショック急落後においては大型株や成長株がマーケットを牽引してきたが、そうした流れがひと段落してマーケット全体が上がりにくい状況になれば、必ずや出遅れ株がスポットライトを浴びるのはこれまでの歴史の常だ。
「新型コロナショックで叩き売られたまま立ち上がれない銘柄の中にはPER1ケタ、PBR0.3倍程度のものがたくさんある」とも述べたが、9月はこうした銘柄群が着実に息を吹き返しつつあり、中には材料を伴って急騰するものも出始めた。直近の高値から1/3~1/2程度に沈んでしまっているので、息を吹き返すと動きが早い。昨年末から今年初めにかけて、本コラムにてそうした個別銘柄の紹介をいくつかおこなってきたが、まさにこの領域には大きなチャンスがあると考えている。
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