12月13日妥当レンジ 14,200円~16,450円
市場に一喜一憂するのでなく、割安銘柄への投資を模索
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米FOMC前後に揺れ動く展開>
■17~18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて波乱含みの展開が続いている。テーパリング(量的金融緩和の縮小)の開始が注目されているわけであるが、米GDP(7-9月)が2.8%から3.6%に上方修正されたこと、11月の米雇用統計が市場予測を上回って好調であったこと、財政協議による修正予算案への合意がなされたことなどから、テーパリングの条件が整いつつあることによる。
■エコノミストではない筆者は、FOMCに対する予想は特に行わないが(イエレン氏の議長就任前の今回は見送られると考えているが)、いずれの結果でも為替市場が過剰反応する可能性も考えられる。
■為替相場は、貿易収支の赤字幅が続き、さらなる金融緩和の可能性のある日本の現状を鑑みれば、円安基調にあると考えており、テーパリングが見送られて円高に振れた場合は輸出企業の押し目買いを狙う戦略に妙味が有ると考える。
<コンセンサスEPSは全期間マイナスに>
■12月13日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、3期間(今期・来期・再来期)において前週比マイナスであった。ただし、日東電工(6988)の下方修正の影響が大きい。日東電工のコンセンサスEPSへの影響は、今期-3.44円、来期-3.21円、再来期-3.10円であり、これを除外すれば小幅のプラスであった。今回は妥当レンジを据え置く。
■証券税制の軽減税率の年内廃止、年初からのNISA開始、来年4月からの消費税率引上げの消費への影響などイレギュラーな要素も多い。引き続き米国のテーパリングが撹乱要因となると同時に、中国経済の動向や日中外交問題も波乱要因となりえる。こうした状況下ではマーケットの動向に一喜一憂するのではなく、相対的に割安な銘柄への投資を常に心掛けたいと思う。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
14,200円~16,450円 | (前回 14,200円~16,450円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月13日)
今期予想EPS | 776.28円 | (前週779.31円) |
来期予想EPS | 877.74円 | (前週879.25円) |
再来期予想EPS | 981.45円 | (前週983.42円) |
今期予想PER | 19.84倍 | (前週 19.63倍) |
来期予想PER | 17.55倍 | (前週 17.40倍) |
再来期予想PER | 15.69倍 | (前週 15.56倍) |
来期予想PBR | 1.36倍 | (前週1.35倍) |
来期予想ROE | 7.75% | (前週7.76%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.44% | (前週6.48%) |
*12月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジは依然として中位にあり、割高ではない。
予想ROEの弱いトレンドが続く。
日経予想EPS(市況欄からの逆算地)とコンセンサスEPSの乖離は続く。
過去4年間のトレンドでは、コンセンサスに軍配が上がるが。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |