4月26日妥当レンジ 13,600円~15,750円
対象決算期変更を迎えて妥当レンジ急上昇!

2013/05/01

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<海外市場も堅調に推移>
■欧州においては、イタリアでレッタ新首相が就任し、政治の空白に終止符が打たれた。小売売上高、中古住宅販売件数など小幅ながらも米国経済指標も市場予想を上回り、堅調である。海外市場も底堅く、その流れが日本株に循環している。
■26日(金)は3月決算発表の前半のピークとなったが、自動車関連をはじめ概ね堅調な内容であった。決算発表後にアナリストコンセンサスが上方修正される銘柄も多かった。225銘柄ではJT(2914)、クラレ(3405)、信越化学工業(4063)、ヤフー(4689)、資生堂(4911)、コマツ(6301)、日立建機(6305)、アドバンテスト(6857)、京セラ(6971)、日野自動車(7205)、マツダ(7261)、ホンダ(7267)、丸井グループ(8252)が好調であった。

<予想EPSは大幅増加>
■4月26日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、各決算期ともに大幅にプラスとなった。決算期変更による影響が大きいものの、前述したようにコンセンサス予想が上方修正されるものも多かった。こうした流れを受けて、日経平均の妥当レンジを表記の通り大幅に上方修正を行う。
■既に来期ベースの予想ROEは8.15%と昨年の同時期の値(8.12%)を超えた。8.50%前後まで上昇すると見込まれ、妥当レンジをもう一段押し上げる要因になりそうである。
■決算発表前は、新年度の会社計画はかなり慎重なものとなる可能性も指摘されていたが、蓋を開けてみれば比較的ニュートラルな計画水準であり、今後、発表が予定されている企業にも期待感が高まると考える。
■ただし、米国が金融緩和策を継続するという見方が台頭しており、足下の為替レートは円が強含みで推移する可能性も考えられる。いずれにしても昨年11月から続いている一本調子の上昇は終焉を迎えつつあり、決算発表後は業績を睨みながら選別物色が行われると考えられよう。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,600円~15,750円 (前回 12,900円~14,950円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月26日)

今期予想EPS 617.66 (前週560.47円)
来期予想EPS 804.03 (前週772.24円)
再来期予想EPS 896.52 (前週865.75円)
今期予想PER 22.48 (前週 23.76倍)
来期予想PER 17.27 (前週 17.24倍)
再来期予想PER 15.49 (前週 15.38倍)
来期予想PBR 1.41 (前週1.38倍)
来期予想ROE 8.15% 前週8.03%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.85% (前週6.78%)

*4月26日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジは急上昇。日経平均株価はレンジ下限に近づいており、割安感がある水準に。

         

  
 期待リターンは7.44%と加熱した水準ではない。現在の株価押し上げ要因は、予想ROEの上昇による。

  

  

 

JASDAQ(小型株)と日経平均の期待リターンの差は前週の1.84%から1.44%へと急激に縮小。小型株の相対的な割安感はやや低下した。

     

  

 アナリスト予想が日経予想(ほぼ会社計画)を上回ってきた。これは果たしてマーケット上昇のサインなんだろうか?

      

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。