【TIWモデルポートフォリオ】
約16ヵ月で“+100% ”のパフォーマンスを達成

2013/04/23

■『TIWモデルポートフォリオ』は、開始以来約16ヵ月で+100%(2倍)のパフォーマンスを達成した。4月22日終値時点で +103.87%であり、同じ期間で見たTOPIXのパフォーマンス+58.18%、日経平均+60.75%を大きく上回っている。
■『TIWモデルポートフォリオ』は、成長性があるにもかかわらずマーケット平均に対してバリュエーション面で割安な銘柄をピックアップすることを基本方針とし、その投資手法の実証を行うための参考(仮想)ポートフォリオである。 2011年12月28日に発行したレポート「Top Pick 10」を同年5月に『TIWモデルポートフォリオ』 に衣替えし、仮想ポートフォリオとして銘柄採用・除外のタイミングも含めて完全オープン・リアルタイムに公開し、その投資手法の有効性を提示して来た。
■背景にある考え方としては、日本の株式マーケットは非効率的(きちんとした評価付けがされていない)であり、特に中小型株ではこの傾向は顕著であるということ、その結果として、バリュー(割安)銘柄への投資は高いリターンを生む可能性があること(バリュー銘柄とは理論的に考えられる水準を下回っているという意味であり、単純にPERやPBRが低いことを表すものではない)。株価は中期的にはROEに収斂する傾向があり、ROEを基準にバリュエーションを行うことである。具体的なストラテジーは、その時点の足下マーケット平均のバリュエーションを算出し、それに対して割安感の強い銘柄をピックアップする。割安・割高の判定においてはTIW独自の「Fモデル」をベースに行っている。これにTIWアナリストの業績見通しを加えて、最終的に藤根靖晃が判断を行っている。
■この結果だけでは勿論十分とは言えないものの、「Fモデル」の有効性ならびに「TIWモデルポートフォリオ」の投資スタイルの合理性は、ある程度は認められると言及できるだろう。
■『TIWモデルポートフォリオ』を構成する考え方(マーケットの割引率から「Fモデル」の具体的な算式まで)は全てTIWが発行するレポートの中で(散りばめられてはいるが)全て公開している。極論を言えば、誰でも同様のパフォーマンスを実現できる可能性があるということである。

TIWモデルポートフォリオ」の基本的考え方
TIWは、“個人投資家が株式投資においてプラスのパフォーマンスを得るにはどのような投資戦略を採ることが望ましいのか”、を考えることからスタートしました。その議論の中で、次の3つを実現することを目指しました。   

◇ 金融・経済について専門知識がなくても株式投資が楽しめるようにする。  
◇ 投資に関して膨大な時間を費やさなくても投資成果を期待できるようにする。  
◇ ポートフォリオの構築後は、銘柄入替は余裕を持って行えるようにする。   

日々、海外経済、国際金融市場の話題が市場を駆け巡るようになりました。10年以上前に比べて株式投資は難しくなっているように感じます。マーケットの動きに振り回されている投資家の方も多いのではないかと思います。  
個別企業の株価変動は、企業個別要因と、マーケット要因が含まれています。これを或る程度、正確に捉えてゆくことが重要だと考えています。企業の個別要因だけを切り出して考える方法として、「Fモデル」という理論株価の算出方法を作成いたしました。   

「Fモデル」はその時点のマーケットにおける割安度合いを算出する手法です。変動するマーケットに対して、割安・割高の度合いを常に相対的に考えることを基本としています。ニュートラルな感覚を身に着けることによって、マーケットの動きを冷静に見ることが可能になると考えています。   

「TIWモデルポートフォリオ」では、「Fモデル」において割安な銘柄を採用し、割安でなくなった銘柄を除外することを原則的に行っております。もちろん、「Fモデル」も万能ではありませんから、個々の企業に対してある程度は個別に考える必要はあります。また、分散効果を得るために、企業規模、業種、グローバル度合いなどから特定のタイプに集中しないように心がけることも重要です。  
いずれにしても、「Fモデル」の考え方をベースとして投資成果が期待できることを実証することを目的にしております。   

「TIWモデルポートフォリオ」の前身は、2011年12月に発行した「2012年のTOP PICK10」でした(銘柄を固定)。「TIWモデルポートフォリオ」として2012年5月に衣替えをし、現在のように銘柄入替を行うように致しました。現時点では決して恥ずかしくないパフォーマンスが得られていると考えております。   

TIWでは、株式投資に対する考え方、背景となる理論、あるいは「Fモデル」が誰でも利用できる方法、などについて不定期に勉強会を行っております。  TIWホームページまたはTIW発行のメールマガジンをご覧いただければ幸甚です。

TIWモデルポートフォリオは、2011年12月27日「2012年のTOP PICK10」開始以降、銘柄の新規採用、除外に関する全てのレポートをその時点で公表しております。

『TIWモデルポートフォリオ』の原則的な採用基準

◇ 株式投資においては、銘柄選択が重要であるが、特定銘柄への過度な集中はリスクが高い。一定の分散を図ることによって“想定外の事態”からのリスクを低減できると考える。選択する銘柄数は、機動性を確保しつつ、一般個人投資家が継続的にウォッチ出来る範囲を考慮して、当面は10~20銘柄とする。
◇ 銘柄選択においては、担当アナリストがポジティブな見解(アナリスト・インプレッションが「1」又は「2+」)を持っていることを原則とする。加えて、『Fモデル』(Fertilize Fundamental Framework)を参考指標として、マーケットの標準割引率を用いて算出した妥当株価水準が割安であることを重視する。それに中期的な展望を加味する。

◆ 参考として上げている5つの日本株投信は、「日経平均をすてて、この日本株を買いなさい」(藤野英人著・ダイヤモンド社刊)の中で代表的な日本株投信として取り上げられているものを掲載した。

「Fモデル」について

 「Fモデル」(Fertilize Fundamental Framework )は、株式会社ティー・アイ・ダヴリュ(以下、T.I.W.)のチーフ・ストラテジー・アーキテクトである藤根靖晃が考案した妥当株価水準を推計する上での簡便法である。「理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(=国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される」という考え方を土台に、ROE値と成長性を一定の数値(インプライドの要求リターン)で割引き財務価値を加減することによって妥当PBR水準を算出するものである。具体的には下記の算式によって求める。

 妥当PBR=〔 今期予想ROE×(1+来期EPS成長率)÷割引率〕-ネットD/Eレシオ×(負債コスト÷割引率)

割引率は、来期ベースの日経平均の要求リターン(10年国債利回り+インプライド・リスクプレミアム)を一律用いている。負債コストは暫定的に2%を適用する。ネットD/Eレシオがマイナスの場合(実質無借金)は、(負債コスト÷割引率)は1を適用する。

「Fモデル」に有用性があると考えるのは次の点である。
◇要求リターンに対するROE水準を測ることを基本にしており、単純且つ理解しやすい構造にあること
◇単純な構造であることからバリュエーション作成者の恣意性が排除できること

注意事項をご理解いただいた上で、あくまでも参考指標として利用いただきますようお願いします。

 【注意事項】
1)「Fモデル」の妥当性に関しては、過去1年以上にわたってTIW企業レポートを用いて行ってきた結果、適応する事例が適応しない事例を大きく上回った。しかしながら、以下のようなケースには不適応であるか、または、(修正を加えない限り)単純に適応できない。
・下地となるアナリストの業績予想の確からしさが低い場合
・金融、不動産、公益など資産に対する捉え方が通常の企業と大きく異なる業種
・子会社等でファイナンス事業を営んでいる企業・BS上には表れない含み資産等の影響が強い企業
・設備投資に対する回収期間が極めて長期である産業
・割引率を大きく上回る成長率が再来期以降も継続する企業

 2)一定の割引率(インプライドの要求リターン)を用いるのは、①現状のマーケットの投資家のリスク許容度を反映させること、②株価ベータを用いた一般的な資本コストは過去の実績であり将来価値を測るには妥当でないという考え方、に基づく。しかしながら、本来的には割引率には企業の事業の継続性・安定性や株式流動性(流動性プレミアム)などを織り込むべきであることは言うまでもない。単純に算出された結果を利用するのではなく、理論値と実績値の乖離について考察することが肝要である。 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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