4月12日妥当レンジ 12,950円~15,000円
対象決算期変更から底堅い展開を見込む

2013/04/16

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<国債利回り上昇と、中国経済の鈍化などから下げる>
■週明けの東京株式市場は反落した。“黒田マジック”に対する懐疑論が広がる中、金融緩和前より国債利回りが上昇し、債券市場の混乱が引き起こされている。昨日(15日)発表された中国の1-3月のGDPは7.7%とコンセンサス(8.0%)を下回ったことも影響した。米国市場では15日発表のNY連銀製造業景況指数(4月)が大きく低下、Bloombergによれば国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しで米経済成長の下方修正が見込まれているとのことである。
■米経済指標については先週から小売売上高(3月)、ミシガン大学消費者信頼感指数(4月)など減速を示す内容が多い。米経済そのものはシェールガスによる製造業の回帰が見込まれることから、心配はないと考えられるが、中国、欧州の経済指標において思わしくない内容が続くと、マーケットではリスク回避選好がもたげて来ることが懸念される。

<前週(今回)はイレギュラーな値か?>
■4月12日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、来期、再来期が順調に拡大した。2月決算銘柄の対象決算期変更なども寄与した。2月決算の小売関連を除けば、プラス企業群は自動車・機械関係が目立っている。
■今回も妥当レンジを大きく引き上げたが、イレギュラーな要素が大きい。直接的には予想ROE(来期ベース)が7.76%⇒8.04%に跳ね上がったことが影響している。予想EPSのプラスが押し上げた部分もあるが、前提としている実績BPSが9,437円⇒9,174円と大きく減少したことが影響した。(これは日経新聞のマーケットデータから算出しているが)今回が異常値である可能性もあることを付け加えておきたい。
■いずれにしても対象決算期変更によって予想EPSの増加(それに伴う予想ROE上昇など)が見込めるタイミングだけに、割高感は無い。今回の下落局面は押し目買いの好機と捉えたい。前回、長期金利に注意と書いたが、日銀の金融政策(金利の低め誘導)の混乱が懸念材料である。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

12,950円~15,000円 (前回 12,400円~14,400円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月12日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月12日)

今期予想EPS 562.64 (前週563.21円)
来期予想EPS 767.73 (前週761.46円)
再来期予想EPS 859.29 (前週853.69円)
今期予想PER 23.97 (前週 22.79倍)
来期予想PER 17.56 (前週 16.85倍)
再来期予想PER 15.69 (前週 15.03倍)
来期予想PBR 1.41 (前週1.31倍)
来期予想ROE 8.04% 前週7.76%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.72% (前週6.75%)

*4月12日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジはさらに上方にシフト(しかし、ややイレギュラーな面も)

       

  
 期待リターンが低下し続ければバブルということなのだろうが・・・・下げ止まっており、現在の株価上昇は予想ROEの上昇による。  

 

  

 

JASDAQ(小型株)は再び相対的な割安感が続く。

   

  

 実績BPSのブレが大きいことから予想ROEは急上昇。

    

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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