3月22日妥当レンジ 11,900円~13,800円
新年度入りも基調変らず、日銀政策決定会合に注意

2013/03/26

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<EU・キプロス合意で反発>
■25日に欧州連合(EU)がキプロスへの支援策について合意したとの報道を受けて、今週の東京株式市場は上昇から始まった。実質新年度入りとなるが、マーケット水準には割高感がないことから基調は変わらないと考える。
■しかしながら、21日の黒田日銀総裁の就任記者会見で金融緩和期待がほぼ織り込まれた可能性もあり、4月3日~4日の金融政策決定会合では一時的に材料出尽しになる展開に注意する必要がある(調整が早めに生じる可能性も考えられる)。

<中小型株には依然として割安感が強い>
■3月22日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、トレンドは変わらずに、来期・再来期のコンセンサス予想EPSはプラスを継続している。プラス企業、マイナス企業ともに目立ったセクターはない。決算発表前の変化に乏しい展開が4月中旬まで続くと考えられる。日経平均の妥当レンジは今週は微調整(引き下げ)する。
■先週はTOPIXがやや下落する中でも日経JASDAQ指数は上昇しており、中小型株物色が続いていることが伺える。東証1部とJASDAQ市場の期待リターン(今期ベース)の差は依然として2%(1.99%)近く存在しており、まだ中小型株に水準訂正余地が大きいことを示している。
■再来期予想ベースで算出した妥当レンジは12,850円~14,950円である。本決算発表後に直ちにこの水準に移行するとは考え難いが、現在の日経平均水準は割安感がまだ強いことを強調したい。13,000円程度までは株価の押し目は好機と捉えたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

11,900円~13,800円 (前回 12,000円~13,900円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月22日)

今期予想EPS 560.80 (前週560.79円)
来期予想EPS 757.74 (前週756.89円)
再来期予想EPS 848.19 (前週847.17円)
今期予想PER 22.00 (前週 22.40倍)
来期予想PER 16.28 (前週 16.60倍)
再来期予想PER 14.55 (前週 14.83倍)
来期予想PBR 1.27 (前週1.30倍)
来期予想ROE 7.80% 前週7.82%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.75% (前週6.67%)

*3月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

向こう3週間くらいは予想EPSの変化が見込み難いことから、妥当レンジの上昇は一時的に踊り場になる可能性が考えられる。

    

  
 インプライド・リスク・プレミアム(今期ベース)で東証1部とJASDAQには約2%の差が存在する。中小型銘柄にはまだまだ水準訂正余地がある。

 

  

225銘柄の内、前週比プラスまたはマイナスに動いた企業数の割合を示している。 本決算を控えて非アクティブな状態が数週間予想される。

 

      52週間の移動平均EPSでは、昨年のピーク時(6月)を既に抜いてきている

 

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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