今週の注目レポート (5月31日)
【F’sセレクション】
チーフ・アナリスト藤根靖晃が、直近1週間に発行された全レポートから独自の視点(ROE・財務レバレッジ・PBR水準等)で、注目銘柄をピックアップします。
●マツダ(7261)【 1→1】
「25/3期は大幅な販売台数増により連続で営業過去最高益更新を同社は計画」
24/3期は北米市場の販売好調や欧州市場の収益向上など、ラージ商品を梃子とした収益力の改善により大幅増収、大幅営業増益確保の好決算となった。25/3期の同社計画は台数増やラージ商品販売拡大などによる売上・構成改善で円高影響(同社は主要通貨で24/3期から円高を想定)やインフレ影響(原材料・物流費増加等)などの外部要因悪化影響をこなし24/3期に続き営業過去最高益更新を目指すポジティブな内容である。TIWでは、25/3期同社計画には上振れ余地があるとみることに加え、商品力向上、米国での販売網改革などによるトップライン伸長牽引による増益基調が続く中、実績PBR0.58倍の株価はあまりに評価不足と考えるため投資評価は「1」(Buy)を維持する。
予想ROE:10.1% PBR:0.6倍、来期予想PER:4.4倍、来期予想EPS成長率:24%
株価(5/31終値):1,657.5円 Fモデルによる理論株価:5278円(5月28日by高田悟)
●ジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)【 1→2+】
「保守契約台数が10万台を突破、25/3期も営業過去最高益更新を計画」
24/3期は営業過去最高益を更新し、25/3期も連続で営業過去最高益更新が見込めるなど業績は堅調推移が続く。また、競争力(メーカー系と同品質のサービスを適正価格で提供)を梃子に国内でのエレベーター等の保守契約台数が本年3月末に独立系として初めて10万台を突破し近年、ストック型である柱の保守契約の伸びが加速していること、出荷台数及び単価の上昇等によりリニューアル業務が好調で同業務が収益性向上に寄与していること、将来成長を可能とする体制づくり(拠点網拡充や人員増強等)も順調である、中継的に堅調な業績展開が続くとみるため、引き続き上値を試す堅調な株価展開をTIWは予想する。ただし、このところの株価上昇でTIWが従来から掲げてきた目標株価3,000円の達成が見込める水準まで株価が足元上昇したため、投資評価は一旦、「2+」へ引き下げる。
予想ROE:28.9% PBR:15.1倍、来期予想PER:37.0倍、来期予想EPS成長率:28%
株価(5/31終値):2,845円 Fモデルによる理論株価:928円(5月29日by高田悟)
●エムスリー(2413)【 2+→2+】
「コロナ関連収益の剥落は収束へ、25/3期下期に成長路線へと復帰」
投資評価「2+(Outperform)」を継続する。24/3期決算並びに会社側の業績ガイダンスを受け、TIW業績予想を減額。他方、現行株価は前回評価時からの下落により、指標面からみて割安感があるものと判断する。24/3期の連結業績は、売上収益2,388億円(前期比3%増)、営業利益643億円(同11%減)となった。同社は25/3期下期の業績予想をレンジにて提示。「製薬マーケティング」の行方が見通しづらいとしている。同下期はコロナ関連剥落後の成長軌道を見極める局面となろう。TIWでは25/3期連結業績を、売上収益2,727億円(同14%増)、営業利益709億円(同10%増)と予想する。「医療現場のDX」が伸長。製薬マーケティングは下期には、諸施策による成果が発現、復調へと向かうものと考える。26/3期は売上収益15%増、営業利益19%増を見込む。
予想ROE:12.2% PBR:2.9倍、来期予想PER:18.2倍、来期予想EPS成長率:20%
株価(5/31終値):1,524円 Fモデルによる理論株価:1233円(5月30日by岩元泰晶)
●ヨコオ(6800)【 2+→2+】
「24/3期上期で業績は底を打つ、25/3期は大幅営業増益を同社は計画」
半導体市場の落ち込みや携帯通信機器市場での過剰在庫解消の動きなどに伴い、好採算のCTC(主要製品:半導体検査用ソケット及びプローブカード)及びFC(同:電子機器用微細コネクタ)セグメントの売上が大幅に減少したため24/3期は大幅営業減益と厳しい決算となった。しかし、車載アンテナを主要製品とし売上比重が高いVCCSセグメントの収益改善が体質強化を進めてきた中での需要回復により大幅に進んだことがポジティブである。業績は24/3期3Q累計(4-12月)決算公表時の上方修正や、24/3期決算で営業利益が上方修正後の計画を上回ったことで24/3期上期(4-9月)で底を打ったことが確認できており、25/3期は同社が大幅営業増益を計画したが、TIWでは達成の確度は高いとみることに加え、株価指標面にも特段、割高感がないため、TIWでは上値を試す株価展開を予想する。投資評価は「2+」を維持する。
予想ROE:4.9% PBR:1.0倍、来期予想PER:10.9倍、来期予想EPS成長率:77%
株価(5/31終値):2,062円 Fモデルによる理論株価:2732円(5月31日by高田悟)
●中央自動車工業(8117)【 1→1】
「25/3期は13期連続の増収、営業過去最高益更新を同社は計画」
TIWでは目標株価は6,850円を維持し、投資評価は「1」(Buy)を継続する。理由は、(1)24/3期決算は12期連続の増収、営業過去最高益確保の好決算となったが、カーディーラー向けケミカル製品(主にコーティング剤)販売での高付加価値商材拡販等により収益性を一段と高めたことや、配当性向方針の変更による期末配当金予想の増配などがポジティブに評価できる、(2)25/3期も連続で増収と営業過去最高益更新の見込みである、(3)同社業績には国内自動車生産の影響が大きいが、自動車生産が減少した際にも、主力の新車ディーラー向けケミカル製品販売での新規開拓、高付加価値商材の拡販、シェア拡大の推進等により増収増益を確保し、連続で増収増益基調を続けていることを踏まえると中期的にも堅調な業績展開が期待できること、などに加え、(4)25/3期TIW予想PER11.9倍などの株価指標面にも割安感があることによる。
予想ROE:16.1% PBR:2.1倍、来期予想PER:10.9倍、来期予想EPS成長率:9%
株価(5/31終値):4970円 Fモデルによる理論株価:6930円(5月31日by高田悟)
TIWではコンセンサス・データ等を利用して、独自に日経平均の今期予想ベース、来期予想ベースのROE、PBR、リスクプレミアム等を算出しております。
算出したマーケット参考値と個別企業の株価指標を比較し、さらにアナリストの予想を加味して選択をしています。
※文中のROE、PBR、PER等の数値は、特に断りが無い限りは、レポート発行時に算出した値です。