日本株、なぜ…なかなか上昇しないのか?~2021年11月26日版~
「なぜ、自分が買った瞬間、株価が下がってしまうのか?」…今週の株式市場も、売買のタイミングが難しく、そう思っている個人投資家も多いかもしれません。
日本株全体が、なかなか動き出しましせん。今週前半は日経平均株価が小幅上昇してスタートしましたが、突如、約470円下落しました。
そして、週末にかけ、さらに不穏な動きをしている日経平均株価の動向を見て、これから株価がどうなるのか?不安な個人投資家も多いかもしれません。
そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。
日経平均株価471円下落は暴落?
まず、こちらをご覧ください。こちらは11/11~11/25の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
この4つの指数をふまえると、前週は日経平均株価の動向で日本株市場のトレンドを捉えている方にとっては、今週も難しい一週間だったかもしれません。
特に難しいと感じるのは、11/24に日経平均株価が約470円下落したときでしょう。470円という数字を目にすると、大きく下がったように感じますが、割合で考えると「1.5%」程度です。
個人投資家の中には、円単位で下落幅を捉えてしまい、これを暴落などと捉える方もいます。しかし、割合では「1.5%」程度の下落です。このように、割合で考えると、通常の下落幅であることが実感いただけるでしょう。
実際に、この株トレンド指数を見ても、11/24は株式市場の下落を示す底値指数が、それほど目立っていません。
むしろ、この日だけでみると「上がり過ぎ」を示す空売り指数が目立っています。同じように、上昇過程中の一時的な下落を示す押し目買い指数も目立っています。
つまり、この日は日経平均株価の下落幅を円で捉えると大幅下落に見えますが、割合で捉えると1.5%程度という数字が表す通り、株トレンド指数でも下落を示していません。
どちらかというと、これまで上昇していた銘柄が「上がり過ぎ」と判断されたり、上昇過程中に一時的に下落し、再び上昇を狙うタイミングにきていると考えられます。
よって、この11/24は株式市場が暴落したのではなく、あくまでも「調整局面」だったと考えられるでしょう。まさに、ここが日本株が、まだ上昇しきれない原因と考えられるでしょう。
おそらく、ここが日経平均株価の動向を株式市場のトレンドと捉えている個人投資家にとって、難しい場面だったのではないでしょうか。
それに加えて、引き続きボックス圏を推移し、依然として方向感がつかみにくい難しい状況が続いています。それが、より難しい状況を作り出している原因でしょう。
その方向感がつかみにくい状況を、より詳しく把握することを目的に、直近2ヶ月間の状況も用意しました。こちらをご覧ください。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
こちらを見ると、9月下旬以降、ほとんど株式市場が動いていないことが分かります。日経平均株価は、動いて見えるかもしれませんが、あくまでもボックス圏を上下しているだけです。
株トレンド指数を見ても、明確にこの指数が目立っているという状況には至っていません。一時的に、上昇を示す天井指数が目立っている場面はありますが、ボックス圏を上抜けするような勢いはない状態を継続しています。
しかも、このボックス圏ですが、5月に発生した短期的な下落トレンドと、9月の短期的な上昇トレンドを踏まえても、4月以降続いていると考えられます。
今月前半からボックス圏を抜けそうな動きが見られましたが、まだ抜けていないことを考慮すると、ここからボックス圏を抜け方向感が出たとき、上にも下にも大きく動く可能性が高いでしょう。
では、週明けの株式市場は、どのような展開が予測されるのでしょうか。
週明けの株式市場の動向は?
週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。
先月のOVER指数はマイナス圏に突入していました。今月に入ると、OVER指数は小さく上昇し、プラス圏に入ったり、マイナス圏に入ったりとしています。
この動きは、前週までは、これまでのデータを見る限り、このあと「上昇トレンドが発生」する可能性があるというサインとも読み取れました。
しかし、今週のOVER指数の動きを見る限り、ここで小さな山を描くように上昇すれば、その後の上昇トレンドを期待できましたが、そこに至りませんでした。
上昇トレンドに入る確率は、順張り戦略をもとに考えると「40%」程度の確率と考えられますので、今週は「60%」程度の「ダマシ」だったと考えられるます。
ただし、今週は再びOVER指数がマイナス圏に入る動きも見られます。もし、OVER指数が、再び数日間マイナス圏に入り、その後、30~50の水準まで上昇し、それが連日続くと、上昇トレンドを迎える可能性が高いでしょう。
よって、前週の時点では、この長期のボックス圏を上抜けし、上昇トレンドを期待したいところでしたが、今週は、再び上下のどちらに抜けるか、方向感がない状況に戻りました。
それをふまえると、週明けの株式市場は、ボックス圏が、そのまま続くか、それとも上抜けや下抜けがあるか、その方向感を引き続き観察する難しい状況になるのではないでしょうか。
トレンドをいち早く掴みたいという願望があるかもしれませんが、株式投資は方向感が決まってからでも売買のタイミングはあります。
決して焦ることなく、ボックス圏をどう抜けるかを慎重に見ていきましょう。
では、下落する可能性はどれくらいあるのでしょうか?次は、こちらの「RISK指数」をご覧ください。
週明け暴落の可能性は?
「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前にプラス圏に現れます。
10月前半はプラス圏に入り、暴落の警戒を緩められませんでした。しかし、前週からマイナス圏に入り、警戒が緩まりました。
ただし、気になるのが、前週や前々週に、やや上昇の動きが見られたことに加え、今週に一桁台ではありますがプラス圏に入ったことです。
まだ暴落リスクがあるという状況には至りませんが、プラス圏を推移する限り、暴落リスクを、ほぼ気にしなくて良いという状況とは判断できません。
もし、このRISK指数のプラス圏の状態が続き、上昇する動きが見られたときは、暴落が想定されるので、そのときは注意が必要でしょう。
OVER指数が上昇を示していれば、それほど気にしなくて良い状況ですが、現状のOVER指数の動向もふまえると、前週よりは万が一のときを想定したほうが良いかもしれません。
なお、仮に突発的に暴落が起きる場合でも、過去の暴落時を見る限り、高い確率で、暴落前日に、このRISK指数がプラス圏に入ります。
何もない状態から一気に暴落するのではなく、そういった前兆がありますので、ぜひこういった視点でリスク管理をしておくと良いでしょう。
どうする…週明けの投資戦略?
前週は、そろそろボックス圏を上抜けするような動きが見られましたが、ダマシにより上抜けに至りませんでした。それにより、ボックス圏が、まだ続いています。
特に、このボックス圏は、今年の中では長い状況です。毎週、その長さを更新している状況です。
データ分析する限り、ボックス圏の期間が長ければ長いほど、ボックス圏を抜けたときに、上にも下にも大きく動くという傾向があります。
イメージとしてはボックス圏では、弓矢を引くように、エネルギーを溜めている状態です。
その弓が放たれることなく、まだエネルギーを溜めている状態ですので、もし上抜けした場合は、大相場の可能性もあるでしょう。
しかし、上抜けの想定は先週までで、今週の動向をふまえると、再び上抜けと下抜けのどちらに動く確率が高いかが、半々のような状況に戻りました。
そうなると、ここからトレンドの鍵になるのが「OVER指数」と「RISK指数」の動向です。
OVER指数が、再び数日間マイナス圏を推移し、その後「30~50の水準まで上昇し、それが連日続く状態」になったら、それは上昇トレンドが発生するサインとも読み取れます。
もし、週明けの株式市場で、そのような動きが見られるときは、このボックス圏を上抜けすることを想定し戦略構築すると良いでしょう。
ただし、繰り返しになりますが、上昇には「ダマシ」がつきものなうえ、ダマシの確率は60%程度と、50%を超えています。その点だけは、常に考えながら戦略構築しましょう。
反対に、RISK指数が、数日間プラス圏を推移する場合は、いつ暴落が起きてもおかしくない状況に入ります。
もし、週明けの株式市場で、RISK指数が、プラス圏を数日推移したり、短期間に上昇したりすることがあったときは、暴落リスクを考慮して戦略構築すると良いでしょう。
しかしながら、依然としてボックス圏を抜けていないのが現状です。方向感がない状態での株価は、思った方向と逆方向に動きやすいので、とても難しい状況に入ります。
それをふまえると、週明けは「様子見」をして、上抜けと下抜けのどちらになるか?もしくは、そのままボックス圏が続くか?など、何もせずに株式市場の動向を見るのも、戦略の一つでしょう。
ぜひ、このような情報を参考にしていただきながら、あなたの週明けの投資戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
今週のポイント~4つ~
【ポイント.1】
今週は、日経平均株価と株式市場全体の動向に、やや差異がある状況。日経平均株価の下落幅ほど、株式市場全体は下落していない。むしろ、上がり過ぎていた銘柄増えたことで、上値が重たい展開になったと読み取れる。
【ポイント.2】
前週のOVER指数をふまえると、ここから小さな上昇が発生し、その後、大きな上昇の展開が予測される状況であったが、ダマシだった可能性が高い。
【ポイント.3】
RISK指数が今週後半からプラス圏に突入。今後、プラス圏が続くようであれば、暴落に注意。特に、現在は株式市場の需給バランスが、ほぼ均衡状態と考えられるので、普段では考えにくいちょっとした材料で、大幅下落になる可能性もある。
【ポイント.4】
約2ヶ月間の株トレンド指数の動向を見ると、ここから上抜けし、上昇トレンドが発生する可能性がると考えられたが、ダマシにより、引き続き明確なトレンドがなく横ばい状態。前週のOVER指数の状況では、このボックス圏を12月上旬に上抜けする可能性があると読み取れた。しかし、今週後半からRISK指数がプラス圏に突入したことで、下抜けの可能性も出てきた。引き続き、ボックス圏をどちらに抜けるか判断が難しい状況。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2021/11/25時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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この記事を書いている人
高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック。
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