トランプ不規則発言で自己増殖する不確実性
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◆連発するトランプ不規則発言 ~タイプ① 「朝令暮改」
不確実性の塊とでも言えそうなトランプ米大統領による不規則発言が、金融市場に動揺をもたらし続けています。特に市場に影響を与えた4月中の言動を整理してみました(下表)。これらの発言のタイプは2つに整理できそうです。「朝令暮改」と「従来の定説に反する言動」(反・定説)です。
「朝令暮改」は、B・C・D・Fが該当します。超大国のリーダーの発言が一貫性を欠いたり、以前に述べたことと矛盾したりすることで、政権運営の先行き不安が強まっています。
◆不規則発言 ~タイプ② 自由貿易や中央銀行の独立性といった「定説」への逆行
「反・定説」にあたるのは、相互関税(A)と金融政策への介入(E)です。戦後の世界経済は、過去のブロック経済化が世界大戦の一因になったことへの反省などから、経済的な国際協力や貿易の自由化を重視してきました。自由貿易は経済的な合理性の観点でも是とされてきました。また、金融政策に関しては、戦時中から戦後にかけて中央銀行による大量の国債引き受けが高率のインフレを招いたという苦い経験があり、今日の中央銀行の独立性の考え方に繋がっています。トランプ政権の相互関税や金融政策への介入は、このような歴史的経緯を踏まえて形作られてきた定説に逆行するものとして、驚きと不安をもたらしています。
◆不確実性が不確実性を呼ぶメカニズム
図表を改めて見ると、この2つのタイプの不規則発言が連動していることが見えてきます。例えばB(相互関税の一部停止)は、A(相互関税発表)に驚いたマーケットの混乱を受けたものだったと報じられています※。F(FRB議長を解任する気はない)も、E(金融政策への介入)の後に、株価、債券価格、為替が同時に下落するトリプル安が進んだことに危機感を覚えたためだと考えられます。「反・定説」的な発言が不安をもたらし、市場が混乱すると、「朝令暮改」的な発言が飛び出してまた混乱するという構図が繰り返されています。不確実性が不確実性を呼ぶ自己増殖的なメカニズムが働いていると言えるでしょう。
*詳しくは4月18日号「生まれ変われるなら債券市場になりたい」をご覧ください。
不確実性の根本は、相互関税や中央銀行の独立性軽視といった「反・定説」的な考え方にありそうです。トランプ政権の考え方の基本的な背景や本気度を見極めていくことが重要だと思われます。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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