運用者の視点:再評価される『スポーツウェア』企業

2019/03/07

 

運用者の視点:再評価される『スポーツウェア』企業

「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回は、過当競争を生き抜いた結果、 投資家の間では再評価する動きが高まっている、中国の『スポーツウェア』企業に注目します。

【ポイント1】中国の2大『スポーツウェア』企業、アンタとリーニン

■『スポーツウェア』と言えば、日本ではナイキ、アディダス、プーマ、アンダー・アーマーなど欧米ブランドのほか、日系ブランドの認知度が圧倒的に高いと思われます。一方、中国ブランドは、その存在を認識していない人が多いのではないでしょうか。

■中国では、アンタ(安踏体育用品)とリーニン(李寧)が『スポーツウェア』業界の2トップと言われる存在です。アンタは福建省の民営企業で、自社ブランドの他に、日本でも人気のフィラの中国事業を買収したほか、伊藤忠商事等との合弁でデサントの中国販売を手掛けています。一方、リーニンは1984年のロサンゼルスオリンピックの体操競技で金メダルに輝いた李寧氏が立ち上げたブランドです。

【ポイント2】『スポーツウェア』企業は過当競争を経て、徐々に淘汰された

■中国では、かつて国内ブランドが乱立した時期がありました。中国人の健康志向や、ファッションとしての『スポーツウェア』需要の高まりから業界の将来への楽観論が支配的となる中、新規参入が相次ぎ、各ブランドは出店競争に明け暮れました。その結果、過当競争となり、収益が悪化する企業が続出しました。その後、出店競争から距離を置いていた一部ブランドを除いて不採算店舗の閉鎖ラッシュとなり、その中でブランド力に乏しく低価格で勝負するしかない中小企業は徐々に淘汰されていきました。

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【今後の展開】『スポーツウェア』企業は復活企業が再評価された一事例と言える

■株式市場では、『スポーツウェア』関連銘柄はブームの後、業界の競争環境の悪化とともに投資家の関心の対象外となり、長年放置されてきました。しかし、激しい競争を経て勝者と敗者がはっきりし、近年では勝者が売上げとシェアを伸ばす傾向が鮮明になってきました。その代表がアンタやリーニンなどの大手企業です。投資家の間では中国ブランドを再評価する動きが高まり、消費関連株全体のリターンが低調となる中、『スポーツウェア』関連に限っては、大手を中心に堅調な動きが続いています。中国の大手『スポーツウェア』銘柄は、「ブームが去った後の復活企業の再評価」と言う視点の重要性を再認識させてくれる事例であると思われます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年3月8日)

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