米利上げ停止、来年か再来年か
▣ 予想どおり利上げ決定、政策金利見通しは2020年に利上げ停止
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月25、26日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想どおりフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、2.00~2.25%とすることを決定しました。声明文から「金融政策スタンスは引き続き緩和的」という文言が削除されたことを受け、政策金利が景気を過熱も冷やしもしない中立金利に近づいているとの認識が広がりました。
あわせて公表した経済見通しでは、物価上昇率については6月の見通しからほぼ変わらなかったのに対し、2018年、2019年の経済成長率を引き上げました(図表1)。2018年から2021年までの成長率の見通しはそれぞれ3.1%、2.5%、2.0%、1.8%。パウエル議長は、米経済はとりわけ輝かしい局面にあるとの認識を示しました。
政策金利見通し(ドットチャート)は、2018年から2020年については変更ありませんでしたが、新しく加わった2021年は2020年と同水準で、2020年には一旦利上げが停止される見通しが示されました(図表2)。
▣ 中立金利到達後の政策金利
中立金利の目安になるFOMC参加者の政策金利の長期見通し(中央値)は、6月の2.875%から3.0%に引き上がりました。もっとも、6月は2.75%と3.0%の間の2.875%が中央値となった一方、今回は3.0%が1人増えた(新しく加わったクラリダ副議長の可能性)ことから中央値が3.0%になっただけで、2.75%~3.0%程度とみられる大まかな中立金利の水準は変わっていないとみられます。
今後については、今年12月での利上げはほぼ確実視されています。来年以降については、FOMC参加者の見通しでは2019年は3回、2020年は1回の利上げとなっており、政策金利が中立金利を上回っても、さらに1回か2回の利上げを見込んでいます。一方、市場は来年1回~2回の利上げしか織り込んでおらず、中立金利の水準に到達した段階で利上げ停止と、見方が分かれます(図表3)。
仮にFOMC参加者の見通しどおりに政策金利が推移した場合には、来年中に中立金利に到達した段階で、目先は利上げが継続するものの将来的な利下げも視野に入ります。したがって、長期金利は政策金利の上昇についていかず、長短金利が逆転する“逆イールドカーブ”が発生する可能性もありそうです(図表4)。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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