株は中ボラ、債券・為替は低ボラ

2018/08/17

▣ 株式市場、低ボラ相場は終了

昨年は緩やかな景気拡大と低金利が継続する中、ボラティリティ(価格の変動性、価格変動リスクの目安)が低い状態で内外の株式市場は上昇傾向が続き、「適温相場(ゴルディロックス)」とも呼ばれました。国内株式市場も低いボラティリティが続きましたが、今年はややボラティリティが上昇しています(図表1)。米株式市場は、2015年、16年の水準まで上昇しており、価格変動リスク面では平時の水準に戻った格好です(図表2)。

ただ、4か月~6か月程度の間隔で発生するボラティリティ急上昇時の水準も限定的になってきており、金融政策の不確実性が低下する中、米中貿易摩擦などへの反応もやや鈍くなってきている可能性があります。

▣ 債券、為替は一段と低ボラティリティ

他方、債券市場についてはボラティリティの低下が続いています(図表3、4)。国内債は7月末の日銀金融政策決定会合の前後には大きく動いたものの、すぐにこう着状態に戻ってしまいました。日銀は、7月の会合で「フォワードガイダンス」を導入し、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する方針を示しました。また、長期金利の変動幅を拡大しましたが、±0.1%から±0.2%へと限定的。

この変動幅についても、当分の間、維持されることが見込まれ、長期金利は低位での推移が続きそうです。

米債券市場についても、2月は利上げ観測や増発への懸念が強まり、長期金利やボラティリティが急上昇しましたが、タームプレミアムがマイナスで推移していることに加え、年内の利上げはあと2回(9月、12月)でほぼ見方が固まった状況。来年についても利上げペースが加速するとの見方は少なく、市場は減速するもしくは利上げが打ち止めになるとの見方も出てきており、長期金利は比較的落ち着いた動きになっています。米国債増発もある程度織り込んできているとみられます。また、米中貿易摩擦やトルコ情勢への警戒も、長期金利を抑制しています。

日本や米国の長期金利のボラティリティが一段と低下する中、金利に影響を受けやすい為替についても、ボラティリティが低下しています(図表5、6)。

※タームプレミアム:償還までの期間の長い債券は短い債券に比べて流動性リスクや金利変動リスクが大きいため、リスクの分だけ要求される上乗せ利回りのこと。NY連銀などが推計していますが足元ではマイナスになっています。

▣ 為替リスクは小さくなっているものの

株式はボラティリティが戻っており、相関の低い資産との分散でリスク低減を図る、債券は低金利で収益性が低いため、引き続き超長期債への投資(押し目買い)、もしくはリスク資産との分散で収益の向上を図ることなどが無難な戦略として挙げられます。ただ、株式についてはボラティリティ(上下動)に着目した短期売買なども考えられます。

為替リスクが小さくなっているため、ドル建てなどの外貨建て資産へ投資しやすくなってはいますが、ユーロについては、米国との関係が悪化しているトルコ情勢(トルコ向け投融資が多い欧州金融機関への懸念)や、来月の予算案公表を控えて「ばらまき政策」への懸念が強まっているイタリア情勢などの落ち着きを待つ必要がありそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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