生保の2018年度の運用計画
▣ 国内は低金利継続、米国債はヘッジコスト高
国内の大手生命保険会社の2018年度の運用計画が出そろいました。以下、日経QUICK、ロイター、Bloombergなどの報道を基に、運用実績、運用計画をまとめています。
2017年度の運用実績については、低金利が継続する中、国債への投資は手控えられ、引き続き社債などのクレジット資産や外国債券を増やす動きが継続しました(図表1)。
2018年度についても、国内の金利が低位で推移すると見込まれる中、国内債に積極的に投資する方針の生保はないものの、社債などのクレジット物や超長期債などの比較的利回りの高い債券に振り向ける傾向がみられます。また、外国債券については、米国債は為替の変動リスクを回避するためのヘッジコストが高いため、為替ヘッジしないオープン外債を増やす、また投資対象を欧州債などにシフトする動きが広がっているもようです。
今年度の運用については各社違いがあるものの、大まかにまとめると、
- 国内では日銀の金融緩和による低金利環境が続くなか、日本国債以外での収益向上を目指す
- 利回り上昇が見込めない日本国債の購入は控え、資金を社債などに振り向ける
- 20年債・30年債の超長期国債利回りが1%を超えてくれば、国債投資を加速する
- 為替ヘッジを付けない外国債券への投資を増やす
- より高い利回りが期待できる豪ドルやカナダドル建ての公社債にも資金を振り向ける
- 欧州債を中心に外国債券を積み増す。主に利回り水準の高いフランス国債を中心とした欧州の国債や政府保証債を購入する
- 米国の債券ではヘッジコストが高止まりしているため、金利の上乗せが見込める住宅ローン担保証券(MBS)などの投資を拡大する
- 堅調な経済が続くことを見込んで国内外の株式投資も拡大する
- インフラや不動産といった株式・債券以外への投資拡大を、今年度も続ける方針
などが、特徴として挙げられます。
▣ 相場見通しは
長期金利は0.0%を若干上回る水準で推移するとの見通しが大半ですが、年度末には0.10%程度まで上昇するとみている生保が5社(図表2)。かんぽ生命は、長期金利の上限を0.4%としており、日銀による長期金利の操作目標の引上げなどを想定している模様です。
米長期金利については、上限を3.2%としている生保が2社、3.3%としている生保は4社。期末値も3%前後が大半です。
日経平均株価については、年度末に2万3,000円~2万4,000円を見込んでおり、堅調な動きを予想。NYダウについても、大半の生保が米景気の拡大や良好な企業業績を背景に、引き続き上昇するとみています。
ドル円については、下限が100円を下回る水準としている生保が3社あり、100円割れもあり得るとの見通し。ただ、年度末は110円程度が大半。やや円安・ドル高地合いながら、極端な動きは想定していないもようです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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