日銀短観、収益計画はやや慎重
▣ 業況判断DIはやや低下、想定為替レートは足元より円安水準
日銀は4月2日に3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業で、原材料高などの影響で2年ぶりに悪化しました(図表1)。
短観は全国約1万社へのアンケート調査(2018年3月調査時の対象企業数は10,020社)で、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としており、毎年3、6、9、12月に調査を実施しています。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた値。
大企業製造業の業況判断DIはプラス24で、約11年ぶりの高水準にまで改善した2017年12月調査からは2ポイント悪化しましたが、依然として高い水準を維持しています。1年前の調査と比べても、各業種のDIは大きく上回っています(図表2)。ただ、騰勢一服との見方もできるかもしれません。
2018年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円)は、大企業・製造業で109円66銭。上期は109円63銭、下期は109円68銭。2017年度の想定為替レートは12月調査の110円18銭から110円67銭に引き上げられました。2017年度のレートより下方修正されたものの、2018年度は足元のレートより円安水準に設定されています。
▣ 2018年度計画はやや慎重
また、売上・収益計画では、大企業・全産業の売上高は2017年度(計画)の4.7%増収から、2018年度(計画)は1.0%の増収に、経常利益は12%の増益から2.2%の減益の計画になっており、企業業績が減速との見方もできます(図表3)。もっとも、昨年3月調査時の2017年度の計画では、売上高は1.4%の増収、経常利益は0.2%の減益でした(図表4)。3月時点での計画はかなり慎重な見通しを立てる傾向が強いため、現時点での2018年度の計画を鵜呑みにする必要はないとみられます。
とはいえ、想定為替レートが足元より円安水準に設定されています。株価と想定為替レートの関係をみると、実際の為替レートが想定為替レートより円安なら株高、円高なら株安に動く傾向がみられます(図表5)。減益見通しは保守的ながら、ドル円が想定為替レートを下回って推移すると、業績の上振れ期待は高まらず、株価の上値を抑えることも想定され注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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