日銀短観、収益計画はやや慎重

2018/04/06 <>

▣ 業況判断DIはやや低下、想定為替レートは足元より円安水準

日銀は4月2日に3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業で、原材料高などの影響で2年ぶりに悪化しました(図表1)。

短観は全国約1万社へのアンケート調査(2018年3月調査時の対象企業数は10,020社)で、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としており、毎年3、6、9、12月に調査を実施しています。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた値。

大企業製造業の業況判断DIはプラス24で、約11年ぶりの高水準にまで改善した2017年12月調査からは2ポイント悪化しましたが、依然として高い水準を維持しています。1年前の調査と比べても、各業種のDIは大きく上回っています(図表2)。ただ、騰勢一服との見方もできるかもしれません。

2018年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円)は、大企業・製造業で109円66銭。上期は109円63銭、下期は109円68銭。2017年度の想定為替レートは12月調査の110円18銭から110円67銭に引き上げられました。2017年度のレートより下方修正されたものの、2018年度は足元のレートより円安水準に設定されています。

▣ 2018年度計画はやや慎重

また、売上・収益計画では、大企業・全産業の売上高は2017年度(計画)の4.7%増収から、2018年度(計画)は1.0%の増収に、経常利益は12%の増益から2.2%の減益の計画になっており、企業業績が減速との見方もできます(図表3)。もっとも、昨年3月調査時の2017年度の計画では、売上高は1.4%の増収、経常利益は0.2%の減益でした(図表4)。3月時点での計画はかなり慎重な見通しを立てる傾向が強いため、現時点での2018年度の計画を鵜呑みにする必要はないとみられます。

とはいえ、想定為替レートが足元より円安水準に設定されています。株価と想定為替レートの関係をみると、実際の為替レートが想定為替レートより円安なら株高、円高なら株安に動く傾向がみられます(図表5)。減益見通しは保守的ながら、ドル円が想定為替レートを下回って推移すると、業績の上振れ期待は高まらず、株価の上値を抑えることも想定され注意が必要です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
内外の投資環境分析を基に、投資に資する情報、見通しなどを、タイムリーにお伝えします。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会