米利上げは年内4回がメインシナリオか
▣ 投票権を持つメンバーは年内4回利上げが多い?
米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月20、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大方の予想どおり、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を1.50~1.75%へと0.25%引き上げることを決めました。
注目された利上げ見通しについては、2018年末のFOMCメンバーの政策金利見通し(中央値)は2.125%で変わらずで、2018年は今回を含め3回の利上げ見通し(図表1)。また、2019年は昨年12月見通しの2回強から3回に、2020年についても1.5回から2回に引き上げられました(図表2)。
2018年の見通しでは僅差で年内3回の利上げですが、今後、3回以下を見込んでいるメンバーの中の1名が4回の見通しに変わると、中央値は年内4回の見通しに引き上げられます。今後の発言を確認していく必要がありますが、今年投票権を持つメンバー8名では、パウエルFRB議長を含む5名が年内4回の利上げ見通し、3名が3回の見通しの可能性があります。見かけ上(中央値)は年内3回の利上げ見通しですが、4回(3月、6月、9月、12月)がメインシナリオの可能性が高そうです。
▣ タカ派ではなく中道(中立)派
また、経済成長見通しを引き上げる一方、インフレ見通しについてはほぼ変わらず、2%程度で推移するとの見通しです(図表3)。パウエル議長は、「金融政策について、速くも遅くもない中道の立場(景気が順調に拡大している限り、緩やかに政策金利を引き上げる)で動くよう努める」と述べており、緩やかな利上げによりインフレをコントロールできるとみている模様です。
イエレン前議長はハト派(利上げに慎重)寄りとみられていましたが、パウエル議長はタカ派でもハト派でもない中立(中道)的な金融政策を志向するとみられます。
今後は、市場では年内3回利上げの見方がまだ多い中、4回利上げの可能性が高まった場合の市場のショックを和らげようと、「年内4回の利上げでも緩やかなペース」とのFOMCメンバーからの発言が多くなるかもしれません。
声明文のとおり「金融政策の一段の緩やかな調整に伴い、経済活動が中期的に緩やかなペースで拡大し、労働市場の力強い状態は続くとともに、インフレ率は今後数か月で上昇し、中期的には委員会の目標である2%近辺で安定する」ならば、金融政策をめぐり市場が不安定になる場面は減りそうです。
とはいえ、パウエル議長は貿易戦争について「小さなリスクだったが、より重大な影響をもたらすリスクになった」と発言しています。年内4回の利上げがメインシナリオとなりそうですが、トランプ政権の通商政策の影響などを注視していく必要があります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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