米金融市場は年3回の利上げを織り込み
▣ 利上げに慎重な金融市場が、今年3回の利上げを織り込み
2月上旬には、米長期金利が急上昇したことを警戒し、米株式相場が急落、投資家心理が大幅に悪化し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数が暴騰するなど、市場が荒れた展開になる中、米金融市場が織り込む今年の利上げ回数は、2~2.5回程度まで減少しました(図表1)。
その後は、米金融市場が落ち着きを取り戻すのに合わせ、市場が織り込む今年の利上げ回数は増加に転じ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル新議長が2月27日の下院での議会証言で、「昨年12月の会合以降、景気見通しは力強さを増してきた」と発言したことを受け、市場は年3回の利上げを織り込むことになりました。
市場の政策金利見通しの織り込みは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の見通しを下回る傾向があります(図表2、3)。利上げ見通しにやや慎重な市場が、今年3回の利上げを織り込む動きになっていることから、4回の可能性も浮上してきました。
3月のFOMC(20-21日)での利上げはほぼ織り込み済みですが、FOMCの声明文、会合後のパウエル議長の記者会見、会合にあわせて公表される経済見通し、政策金利見通しで、以降の金融政策を織り込むことになります。
▣ 利上げ回数に関する最近のFOMCメンバーの発言は
2月に入ってからの、今年の利上げ回数についてのFOMCメンバーの見解は、以下のようになっています。
- 3回ないし4回(サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁)
- 3回(ニューヨーク連銀のダドリー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁)
- 2回(フィラデルフィア連銀のハーカー総裁)
- 4回は多い(セントルイス連銀総裁)
金融政策のスタンスが中道派とみられるウィリアムズ総裁や、ややハト派とみられているエバンス総裁が、4回の利上げを意識するなど、目線はやや上方向にシフトしてきているようです。
パウエルFRB議長が、3月1日の上院での議会証言で、「経済が過熱していることを示す兆候はない」と発言したことを受け、利上げ加速への警戒がやや和らぎました。トランプ大統領が鉄鋼やアルミニウム輸入に関税を課す方針を表明したことを受け、貿易摩擦への警戒が強まったことも手伝い、米長期金利は2.81%前後まで低下し、米債券市場はやや落ち着いてきています(図表4)。ただ、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は22.47と、再び警戒水準の20を上回ってきており、内外の株式市場などはまだ不安定な状態が続いています。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は年3回の利上げを支持していますが、3月1日の講演で、前回の利上げ局面では年8回の利上げを実施しており、年内に4回の利上げが実施されたとしても、利上げペースはなお緩やかと発言しています。年4回の利上げの可能性が高まった場合の、市場の反応を和らげようとする意図がありそうです。ただ、年4回の利上げでも緩やかな利上げペースとの認識が市場で広がるには、もう少し時間が必要かもしれません。いずれにしても利上げペースについては、3月のFOMCを確認してから、再考することになります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会