酉は騒ぎ、戌は笑う
▣ 申酉(さるとり)騒いだ2017年
十二支の申酉(さるとり)騒ぐの酉年にあたる2017年は、トランプ新大統領がツイッターで頻繁につぶやくなど、申年に引き続き、やや騒がしい年になりました。オランダ総選挙、フランス大統領選では懸念された極右勢力の台頭に歯止めがかかり、市場に安心感が広がりました。ただ、9月に行われたドイツの総選挙はメルケル首相が率いる与党が第一党を維持したものの、連立政権の樹立が難航しており、解散・総選挙の可能性も残ります。国内では、7月の都議選では希望の党が躍進した一方、10月の総選挙では自民党が大勝しました。欧米の政治、政局に加え、北朝鮮がミサイル発射や核実験などの挑発行為を繰り返し、地政学リスクにも振らされました。
内外の金融政策については、米連邦準備制度理事会(FRB)は3回の利上げに加え、10月からは残高を維持してきたバランスシート(米国債などの保有資産)の縮小に着手、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和政策(資産購入)を縮小する一方、日銀は2016年9月に導入した強力な金融緩和策である「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を堅持しました。
政治リスクに加え、地政学リスクに振らされながらも、グローバルな景気回復が続く中、欧米株は過去最高値を更新、国内株も一時26年ぶりに2万3,000円を上回るなど、堅調な地合いが継続しました。
▣ 戌(いぬ)笑う2018年
2018年は「戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる」の戌年。十干では戊(つちのえ)にあたります。
過去60年間の戌(いぬ)年のTOPIXの騰落率は、4勝1敗と8割上昇(図表1、2)。戊(つちのえ)の年は4勝2敗(図表3)。前回の戊戌(つちのえいぬ)年の1958年の騰落率は40%と、大幅に上昇しました。ただ、戌(いぬ)年の平均は7.7%で、酉(とり)年の25.4%と比べるとやや見劣りがします。今年同様、堅調な動きとなることがメインシナリオですが、上値がやや抑えられるとの見方もできそうです。
2018年は米国の中間選挙の年(図表4)。また、3月にもイタリアで総選挙が実施される予定です。ドイツの解散・総選挙の可能性も残ります。米国の中間選挙では、共和党の改選議席が少なく、民主党がやや不利との見方ができますが、現政権への批判票が民主党に向くと、政局不安が広がる可能性もあります。
内外の金融政策では、FRBのパウエル新議長の政策運営、金融政策担当の副議長人事が注目されます。日銀については黒田総裁が4月に任期満了を迎えます。年明けには次期総裁人事が本格化するとみられます。ECBについては、2018年9月まで延長した量的緩和の終了時期と、その後の利上げ時期への思わくに振らされそうです。
北朝鮮情勢など地政学リスクには引き続き警戒が必要です。また、国内では2019年10月には消費増税が予定されており、徐々に景気減速への警戒が広がる可能性もありそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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