国内金利は上にも下にも動きにくい
▣ 利回り低下を受け、日銀は立て続けに国債買入れを減額
日銀は11月に入り、国債買入れオペ(公開市場操作)の金額を相次いで減額しました。17日には残存期間「1年超3年以下」を2,800億円から2,500億円に、24日には「25年超」を1,000億円から900億円に、27日には「1年以下」を700億円から500億円に減らしました。
もっとも、本格的に買入額を減らしていくということではなく、利回りの低下が目立った、もしくは適切なイールドカーブ(利回り曲線)の水準からやや下に離れたゾーンについて、1回あたりの買入額を減額して、適切な水準に誘導する措置とみられます。
「1年以下」については、6か月物の利回りがマイナス0.2%を下回ったことから減額(図表1)。「1年超3年以下」については、2年債利回りがマイナス0.15%~マイナス0.10%で推移していたものが、マイナス0.2%程度まで低下したことを受けて減額したと推察されます(図表2)。「25年超」の減額についても、来年度の国債発行計画で30年債、40年債が減額されるとの観測を日銀が意識したというよりも、国債発行の減額観測から40年債利回りが1.0%を割り込んだことを受けて、日銀が動いた格好です(図表3)。
▣ 国債発行額が減額されると、日銀の買入額も減少する可能性
とはいえ、国債の発行額が減額されると、イールドカーブ・コントロールに必要な国債買入額も減少します。発行額が減額されたゾーンの国債を日銀が無理に買い入れて必要以上に利回りを引き下げてしまう可能性もあります。今回の買入額の減額は、結果的には国債発行額の減少(見込み)と整合的といえます。
日銀による国債買入額が、昨年はオファー日ベースで月間9兆円を超えていたものが、今年に入り減少しており、11月は7兆5,000億円を下回る買入れになりました(図表4)。日銀の物価目標達成が見通せない中、欧米の長期金利も比較的落ち着いた動きが続いており、イールドカーブ・コントロールに必要な国債買入額が減少している可能性があります。また、国債発行の減額も、日銀の国債買入額の減少要因となります。
▣ 日銀は国債利回りの低下、上昇に目配り
日銀が毎月末に公表する「当面の月間買入予定額」で示された1回当たりオファー金額のレンジの中間値が、実際のオファー金額の目安の水準になります。「1年以下」、「25年超」は目安以下、「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「10年超25年以下」は目安と同水準。ただ、「5年超10年以下」については4,100億円と、目安の水準(4,000億円)を上回る買入れが継続しており、日銀が長期金利の上昇をけん制しているとも受け取れます。
相次ぐ国債買入れオペの減額で国内の金利は低下しにくくなっているものの、上昇も限定的とみられます。
日銀は11月30日に、12月1日から適用される「当面の月間買入予定額」を公表しました。「1年以下」の1回当たりオファー金額を500~1,500億円から100~1,000億円に減額しました。その他の年限に変更はありませんでした。「25年超」のオファー金額が11月24日に減額されたのは一時的な扱い。ただ、900億円のオファーが続く可能性があります。他方、年限が短いゾーンの利回り低下は腰を据えて抑制する方針のようです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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